中国の外貨管理2023
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3671.上海FTZの設立 第1節 上海FTZの設立と金融改革の意見 中国初の自由貿易試験区(以下,「FTZ」という)である中国(上海)自由貿易試験区(以下,「上海FTZ」という)は2013年に設立され,以来市場化改革の「試験田」として,人民元クロスボーダー使用の拡大や外貨管理規制の緩和などの金融改革が先行実施されている。 2020年3月に,外債利便化試行政策の適用範囲は上海FTZ,湖北FTZ・武漢東湖新技術開発区,広東省及び深圳(広東省・香港・マカオグレーター・ベイ・エリア)などに拡大され,条件を満たす中小・零細ハイテク企業による枠内での自主的な外債の借入が認められた。同年6月に上海FTZ臨港新エリアで試行企業による一括での外債登記が認められ,1件ごとに外債契約の登記手続をしなくてもよいとされた。 このほか,ビジネス環境の最適化の面では,2019年12月31日から全国のFTZにおいて,外貨買取・売渡業務に係る銀行・農村信用社の参入・撤退などの外貨管理行政許認可関連申請書類の取り消しが試行された。 また,国務院は2020年9月21日に,北京FTZ,湖南FTZ,安徽FTZの3ヶ所の新設,及び浙江FTZの拡張を承認した。これをもって,全国のFTZは21ヶ所となった。各FTZは各自の戦略的な位置付けに基づき,それぞれの改革措置を試行している。「複製可能で普及可能な(可复制,可推广)経験を形成する」方針に基づき,既に複数の措置が全国展開された。 上海FTZは2013年9月29日に上海市浦東新区にある外高橋保税区,外高橋保税物流園区,上海浦東空港総合保税区,さらに離島の洋山保税港区という税関特殊監督管理区域4ヶ所を改組して設立された。その総面積は28.78平方キロ。国 *** Point ***! 第19章 中国自由貿易試験区の金融改革

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