中国の外貨管理2023
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① 支払通貨としての人民元 ② 準備通貨としての人民元 支払を占める割合は過去最高を更新した。 (1)人民元の国際通貨としての機能のさらなる深化 2021年6月時点,人民元は世界第5位の支払通貨となりつつあり,市場シェアは前年同期の1.8%から0.7ポイント増の2.5%(SWIFT発表)になった。 IMFの外貨準備通貨構成統計データ(COFER)によると,2021年第1四半期末時点の人民元準備高は2,874.64億米ドル,主要準備通貨の中で第5位(シェアも2016年以来の最高水準の2.5%を記録)である。 (2)クロスボーダー人民元取引の急増 人民元による国際協力がより一層進んでいる。2020年,人民銀行はラオス中央銀行と通貨スワップ協定を新たに締結した。またエジプト,スイス,モンゴル,アルゼンチン,ニュージーランド,韓国,アイスランド,ロシア,香港などの国と地域の中央銀行または通貨当局と通貨スワップ協定を更新した。20年末の時点において,人民銀行は40ヶ国・地域の中央銀行あるいは通貨当局と通貨スワップ協定を締結しており,世界の主要な先進国・地域と新興国・地域,主要なオフショア人民元市場の所在地をカバーし,総額は3.99兆元超であった。 (3)人民元の国際化インフラ,関連業務,能力構築のさらなる強化 国外における人民元クリアリング業務のさらなる改善。2019年,人民銀行は三菱UFJ銀行,中国銀行マニラ支店の2行を,人民元業務清算銀行(清算行,クリアリングバンク)2として指定した。19年末時点で,すでに25の国と地域で27の人民元業務清算銀行が指定され,清算銀行の性質や役割の位置付けがより明確になり,カバレッジもより合理的になった。 人民元クロスボーダー決済システム(CIPS)3業務のカバレッジのさらなる拡大。364 2 国外人民元業務清算銀行(清算銀行)とは,中国人民銀行の認可を受け,国外人民元クリアリング業務を展開している国外地域(中国香港,マカオ,台湾地域を含む)において,人民元クリアリング業務を行う機関を指す(「国外人民元業務清算銀行,国外参加銀行によるインターバンク債券市場における債券の現先取引に関する通知」(中国人民银行关于境外人民币业务清算行、境外参加银行开展银行间债券市场债券回购交易的通知))。 3 人民元クロスボーダー決済システム(CIPS)は国内外の金融機関を対象に,その人民元クロスボーダー業務とオフショア業務につき,資金の決済・清算サービスを提供する重要な金融インフラである(「人民元国際化の重要なマイルストーン,人民元クロスボーダー決済システム(第1期)のオンライン運用に成功」(人民币国际化重要里程碑 人民币跨境支付系统

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