中国の外貨管理2023
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第2節 利息計算と利息決算 1.貸出利息の計算方法と決算 (1)短期貸出(期間1年以内)金利 (2)貸出契約期間内における金利の変更 (3)延滞利息,罰則利息 る場合は「優遇政策を打ち出した部門が利息を補填する」との原則に基づき,企業に対し利息補填のための手配をおこなわなければならない。1994年に3行の政策銀行が設立されてからは,優遇金利や特別金利を適用する貸出は政策銀行が担当している。 また,中国では,政府部門による少数民族保護政策の一つとして,少数民族地域における民族貿易取引・少数民族特別ニーズ商品生産企業(両民企業)に対する利息補填制度がある。人民銀行,財政部などは2019年11月4日付で「民族貿易及び民族特別ニーズ商品生産貸出金利の関連事項に関する通達」(中国人民银行 国家民委 财政部关于民族贸易和民族特需商品生产贷款利率有关事宜的通知)(銀発[2019]273号)を公布し,民族貿易及び民族特別ニーズ商品の生産向けの貸出金利について,貸出プライムレート(LPR)に一定のスプレッドを加減し決定するとした。また利息補填として2.88%を上限にした。この利息補填策は25年までとする(財予[2022]76号)。 人民元貸出の利息計算方法と決算方法は,貸し手と借り手が協議して決めることができる(銀発[2003]251号第1条)。 借入契約日における期間に応じた法定金利を適用し,中途で金利変更があっても適用金利は調整しない。短期貸出の利息決算は四半期ごとにおこない,毎四半期末月の20日を利息決算日(结息日)とする。ただし月次の利息決算が約定されているときは,毎月20日を利息決算日とする。約定日に支払いができない利息は,元金に組み入れ複利をつける(「人民元金利管理規定」第20条)。 人民元中長期貸出の貸出期間中の金利変更は,貸し手と借り手が「商業原則」に基づき定める。期間中に月毎,四半期毎,年毎に変更する方法,あるいは固定金利を適用する方法も可能である。なお,期間が5年超の貸出金利は人民銀行が公布する貸出金利を参照し,金融機関が自主的に決定できる(銀発[2003]251号第2条)。 約定弁済日に延滞している貸出に対する延滞利息は貸出契約に明記した約定金利の30%から50%増しとする。貸出契約に定めた使途に違反し貸出金を使用したときの罰則利息は,約定金利の50%から100%増しとする。これらの延滞,罰則利息は,事由発生日から元利金弁済日までを計算期間とし,期限どおりに払われないときは,延滞,罰則利息金利による複利を適用する(銀発[2003]251号第3条)。 29

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