中国の外貨管理2023
365/393

① 19年,香港地域の人民元RTGSシステムの1日当たりの平均取引額は1.13兆元に達し,史上最高を更新した。SWIFTの統計によると世界の人民元取引の7割② 19年に香港銀行が取り扱った元建て貿易決済額は前年比27.8%増の5.38兆元。 ③ 19年末時点で人民元取引先預金(人民币客户存款)及び預金証書(存款证)の残高は6,580億元,世界最大のオフショア人民元資金プーリングとなった。 ④ 国際決済銀行(BIS)が3年に1度行われる外為・デリバティブ取引高調査の結果では,香港地域が再度世界最大のオフショア人民元・外為市場となり,1第2節 中国香港地域のオフショア人民元市場 1.概況 2003年末以降,香港地域では各種人民元業務の段階的な取扱が開始された。11年8月17日,李克強副総理(当時)は,香港地域が人民元オフショアセンターとして発展するよう支持し,RQFIIの形による国内証券市場への投資解禁,香港地域での元建て債券発行を行う国内金融機関の対象拡大,国内企業による香港地域での元建て債券発行の許可,国内機関による香港地域での元建て債券発行規模の拡大を行うことを発表した。これにより,香港地域の人民元オフショアセンターとしての地位は,名実共に確立されたといえよう。 「香港金融管理局2019年報告書」では,19年の香港地域のオフショア市場につき,以下の通りまとめている。 以上を香港地域が占めている。 ①国外投資家は本通達の第2条,第3条の一つ目の方法で取引を行う場合,取引相手とする国内の金融機関は3社を超えてはならず,あわせて自らあるいは決済代理行を通じ,その金融機関リストを事前に中国外貨取引センターへ届出しなければならない。金融機関を調整する場合,事前に中国外貨取引センターへ届出する必要がある。(匯発[2020]2号第4条) ②国外投資家は本通達の第2条,第3条の一つ目の方法で取引を行う場合,決済代理行以外のほかの国内金融機関で専用外貨口座を開設する必要がある場合,匯発[2016]12号で規定された業務登記証憑をもって取り扱うことができる。当該口座は為替デリバティブの取引に係る資金移動,決済,保証金の管理等の取扱専用とする。クロスボーダー資金の受取・支払は決済代理行を経由して実施しなければならない。国外投資家は国内の金融機関との直接取引を停止した後,当該機関で開設した専用外貨口座を遅滞なく閉鎖しなければならない。(匯発[2020]2号第6条) 国外投資家が顧客として国内の金融機関と直接取引 (出所)「国外機関投資家によるインターバンク債券市場の投資の届出管理実施細則」など の取引を行うことが可能である。  顧客として国内の金融機関と直接取引すること。  中国外貨取引センターの会員となり,ブローカー業務を通じ銀行間外国為替市場で為替取引を実施すること。(匯発[2020]2号第3条) 357

元のページ  ../index.html#365

このブックを見る