中国の外貨管理2023
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金の総額を超えてはならない。 ②国内機関が国外へ振出した元建て前期費用は,それの国外直接投資の総額に組み入れなければならない。銀行は当該国内機関のために国外直接投資人民元資金の振出を取り扱うとき,すでに振出した元建て前期費用を控除しなければならない。(匯律発[2018]10号) 銀行は,国外投資の前期費用の使用状況を定期的にフォローしなければならない。元建て前期費用を振出した日から6ヶ月以内に国外直接投資主管部門の認可/届出を取得していない場合,国内機関は余剰資金を振出したもとの国内人民元口座に戻し入れなければならない。(匯律発[2018]10号) 国内機関は,国外直接投資により取得した利益を人民元で国内に振り込むことができる。銀行は当該国内機関のために国外直接投資に係る人民元利益の入金手続を取り扱うことができ,合わせて人民元クロスボーダー受取・支払情報管理システムへ人民元利益の振込情報を報告しなければならない。(人民銀行公告[2011]第1号第12条) 銀行は関連規則に基づき,国内機関の国外投資企業もしくはプロジェクトに対し,元建て貸付を行うことができる。(人民銀行公告[2011]第1号第15条) 国外直接投資人民元決済業務を取り扱うとき,銀行及び国内機関は「国際収支統計申告規則」などの規則に基づき,国際収支申告を行わなければならない。(人民銀行公告[2011]第1号第16条) 合計 余剰資金の 戻入 国外直接 投資による利益の国内振込 (出所)人民銀行など 項目 銀行による元建て貸付 国際収支 申告 (出所)人民銀行など (2)元建て国外貸付業務 内容 人民元の国外貸付について,2012年9月に人民銀行上海本部は先行して多国籍企業グループ内での人民元国外貸付業務試行を開始した1。13年7月5日付で公布された「クロスボーダー人民元業務プロセスの簡素化及び関連政策の改善に関する通達」(中国人民银行关于简化跨境人民币业务流程和完善有关政策的通知)(銀発[2013]168号,以下,銀発[2013]168号という)に基づき,国内の非金融機関による元建て国外貸付が認められ,全国で当該業務が正式に開始された。16年11月29日付で公布された「さらに国内企業の元建て国外貸付業務関連事項の明確化に関する通達」(中国人民银行关于进一步明确境内企业人民币境外放款业务有关事项的通知)(銀発[2016]306号,以下,銀発[2016]306号という)に基づき,国内企業の元建て国外貸付業務に対する人民元・外貨一体化のマクロプルーデンス管理の適用が明確にされた。一方,2022年1月29日付で公布された「銀行業金融機関の国外プロジェクトの人民元貸付に関する通知」(中国人民银行 国家外汇管理局关于银行业金融机构境外贷款业务有关事宜的通知)(銀発[2022]27号)では,国外企業に優先的に人350 1「非金融機関による人民元国外貸付の作用」(「中国金融」2013年第18期(総第768期))

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