中国の外貨管理2023
355/393

項目 銀行は,関連規定に基づき,国内代理銀行,中国香港・マカオ人民元業務清算銀行あるいは国外機関が中国国内の銀行に開設した「人民元銀行決済口座」を通じたクロスボーダー貿易,その他経常項目,対外直接投資,国外貸付及び人民銀行の同意を受けたほかのクロスボーダー投融資についての元建て決済業務の取扱いができる。(銀発[2011]145号第1条) 国内企業は,輸入代金として支払う人民元を以って,国外(中国香港を含む)において直接外貨を購入し国外の輸出業者に支払ってはならない。国内決済銀行は,この種類の人民元決済サービスを提供してはならない。(銀発[2011]145号第4条) 銀行の取扱業務 国内企業の輸入代金の支払 (出所)「クロスボーダー人民元業務に関連する問題の明確化についての通達」「クロスボーダー人民元業務フローの簡素化及び関連政策の完善化についての通達」 項目 クロスボーダー貿易人民元決済に係る居住者の対非居住者宛て元建て負債には,クロスボーダー貿易人民元決済に関連する「ユーザンス信用状」(远期信用证),「国外での代理支払」(海外代付),「協定に基づく支払」(协议付款),「前受・延払」(预收延付)が含まれる。上記の元建て負債を人民元クロスボーダー受取・支払情報管理システムを通じ登記しなければならないが,現行の外債管理対象外である。(銀発[2011]145号第5条) 銀行は,「国外工事請負」(境外工程承包),「国外でのプロジェクト工事」(境外项目建设),「クロスボーダーの融資」(跨境融资)などに対し,元建ての保証状を発行することができる。元建ての保証の差入は現行の外債管理の対象としない。ただし人民元クロスボーダー受取・支払情報管理システムに対して,保証及び履行情報を送信しなければならない。(銀発[2011]145号第6条) 国外機関の人民元銀行決済口座の残高(境外机构人民币银行结算账户余额)は外債管理の対象としない。(銀発[2011]145号第7条) 中継貿易(转口贸易)も人民元決済ができる。国内決済銀行は関連元建て決済業務を取り扱う際,貿易の真実性についての審査・確認義務を履行しなければならない。(銀発[2011]145号第8条) 企業が,実際に人民元代金の受取・支払を発生させた後で,その代金を払い戻し(弁償)するときは,銀行は関係証明資料を審査・確認後に,対外受取・支払を取扱うことができる。ただし払い戻し(弁償)金額は一般には,もとの受取/支払金額を超えてはならない。(銀発[2011]145号第9条) 外貨建てで通関し人民元で決済する場合は,クロスボーダー人民元決済に関する規定にしたがい取扱う。企業は銀行に対し通関申告書番号,通関金額などの情報を提供し,銀行は人民元クロスボーダー受取・支払情報管理システムに関連情報を送信する。(銀発[2011]145号第10条) ①国内の企業が代金の受取・支払側となる貿易決済に限定し,人民元の買居住者の 対非居住者宛て元建て負債 銀行の元建ての保証状業務 人民元銀行決済口座の残高 中継貿易の 人民元決済 人民元決済の代金の払戻(弁償) 外貨建て通関の人民元決済 国外参加銀行の業務制限 ②期間が3ヶ月以内の真実性のある貿易支払のニーズを有する企業顧客向内容 内容 また,「クロスボーダー人民元業務フローの簡素化及び関連政策の完善化についての通達」(中国人民银行关于简化跨境人民币业务流程和完善有关政策的通知)(銀発[2013]168号,以下,銀発[2013]168号という)に基づき,経常項目に係るクロスボーダー人民元決済関連手続が簡素化された。これら通達のポイントは次の通りである。 取・売渡ができる。 けに限定し,人民元の買取・売渡ができる。 347

元のページ  ../index.html#355

このブックを見る