中国の外貨管理2023
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第1節 クロスボーダー人民元決済 2009年7月に一部の都市において施行されたクロスボーダー貿易人民元決済は2011年7月以降全国に拡大されている。 クロスボーダー貿易人民元決済試行地域における銀行及び企業による人民元建て(以下「元建て」という)国外直接投資も2011年8月以後全国に拡大された。10月に外国投資家のクロスボーダー元建て出資による外資系企業の設立が解禁され,12月にその他の国・地域に先駆けて中国香港で人民元適格海外機関投資家(RQFII)による国内証券市場への投資が試行された。13年7月に経常項目に係るクロスボーダー人民元決済手続の簡素化のほかに,元建て国外貸付関連許認可が廃止され,12月にクロスボーダー元建て直接投資関連手続が簡素化された。 2018年1月,外貨建て決済が可能なクロスボーダー取引につき,企業は元建て決済が利用可能となった。 人民銀行の「2021年人民元国際化報告」によると,20年のクロスボーダー人民元受取・支払金額は合計28.39兆元に達し,前年比44.3%増加した。うち受取は14.10兆元,支払は14.29兆元。経常項目に係るクロスボーダー人民元受取・支払金額は合計6.77兆元,前年比12.1%増加した。うち貨物貿易受取・支払金額が4.78兆元,サービス貿易及びその他経常項目の受取・支払金額が9,238.57億元であった。資本項目に係るクロスボーダー人民元受取・支払金額は合計21.61兆元,前年比58.7%増加した。 2018年以降公布されたクロスボーダー人民元決済関連政策は下記の通りである。10年から17年までの関連政策については,『外資系企業に対する中国の外貨管理』(2018年版)を参照されたい。なお,本章の「香港・マカオ・台湾」とは中国香港・マカオ・台湾地域を指す。 341*** Point ***! 第18章 クロスボーダー人民元決済とオフショア人民元

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