中国の外貨管理2023
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第5節 多国籍企業の人民元・外貨一体化プーリング業務の試験的 2020年3月,多国籍企業グループのクロスボーダー資金の集中使用を 更に便利にするため,中国人民銀行及び国家外貨管理局は,深セン及び北京に おいて,多国籍企業の人民元・外貨プーリングの一体化業務の第1回試験を実施 した。 試験実施の対象は,信用等級が高い大型多国籍企業グループであり,その主な 内容は次の通りである。 1. 人民元・外貨政策の統一 展開 既存の各種キャッシュプーリングが統合され,多国籍企業グループ内でのクロスボーダー資金の人民元・外貨の一体化管理が実現される。 2. 双方向マクロプルーデンス管理の実施 外債と国外融資の限度額を適度に調整し,慎重で安定した経営理念の下でクロスボーダー投融資の自主性及び資金利用効率を向上させる。 3. 資金の振替と使用の利便性の更なる向上 主幹企業の中国国内資金のメイン(サブ)口座における元転後の資金は、人民元国内資金のメイン(サブ)口座に直接入金することができ,中国国内資金の主要口座の資金は、メンバー企業の自社口座に直接に振替えて関連する手続きを行うことができる。 4. 一定の限度額まで自由外貨転の実現 外貨転により得た外貨資金は,中国国内資金のメイン口座に預け入れ,外国へ①国内主宰企業は規定に基づき人民元専用預金口座の開設を申請し,クロスボーダー双方向人民元プーリングの取扱にのみ利用する。口座の資金には法人向けの普通預金金利を適用する。有価証券,金融派生商品,非自社用不動産,資産運用商品への投資は禁止。プーリング非参加企業への委託貸付は禁止。(銀発[2015]279号第5条) 国内主宰企業人民元専用預金口座の取扱規定 ②決済銀行は,クロスボーダー双方向人民元プーリングの人民元専用預金口座のために日中及びオーバーナイトの貸越を取り扱うことができる。(銀発[2015]279号第11条) ③主宰企業がクロスボーダー双方向人民元プーリングの人民元専用預金①国外主宰企業は規定に基づき国外機関の人民元銀行決済口座の開設を国外主宰企業人民元銀行決済口座の取扱規定 ②主宰企業がクロスボーダー双方向人民元プーリングの人民元専用預金(出所)「多国籍企業集団によるクロスボーダー双方向人民元プーリング業務展開のさらなる利便化に関する通達」「クロスボーダー双方向人民元プーリング業務管理の改善に関する通達」 超える部分に対し,引き下げ後の上限を満たすよう1ヶ月以内に資金を払出さなければならない。(銀発[2015]279号第10条) 口座を通じて,国内外のメンバー企業へ払い出す資金の期限は1年を超えてはならない。(銀貨政二[2018]4号第2条) 申請し,クロスボーダー双方向人民元プーリング業務の取扱にのみ利用し,口座内の資金は法人向けの普通預金利率を適用する。国外主宰企業が基本預金口座を開設していない場合,当該人民元銀行決済口座は基本預金口座に組み入れて管理する。(銀発[2015]279号第6条) 口座を通じて,国内外のメンバー企業へ払い出す資金の期限は1年を超えてはならない。(銀貨政二[2018]4号第2条) 339

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