中国の外貨管理2023
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内容(抜粋) 1.多国籍企業のクロスボーダー資金集中運営業務 なお,2019年10月18日付で公布された『「多国籍企業クロスボーダー資金集中運営管理規定」に関するQ&A』(以下,Q&A第1期という),2020年12月1日付で交付された『「多国籍企業クロスボーダー資金集中運営管理規定」に関するQ&A』(第二期)(以下,Q&A第2期という),並びに『資本項目外貨業務手引』(2020年版)では,実務手続について詳しく解説されている。 多国籍企業によるクロスボーダー資金集中管理とは,国内外のグループ企業の余剰資金を一元管理できる仕組みのことで,これには国内外資金の集中運営・管理や,外債及び国外貸付限度額の集中管理,経常項目に係る資金の集中受取・支払と相殺差額決済等が含まれている(匯発[2019]7号第3条)。 多国籍企業は,経営の必要に基づき1社の国内企業を主宰企業として選び国内外メンバー企業の資金を集中して運営・管理し,外債限度額の集中,国外貸付限度額の集中,経常項目に係る資金の集中受取・支払及び相殺差額決済の1つもしくは複数の業務を展開することができる(匯発[2019]7号第5条)。 多国籍企業は条件に合致する国内銀行(主宰企業が所在する省級行政区内,以下同)をクロスボーダー資金集中運営業務取扱の協力銀行(以下「協力銀行」という)に選ぶことができる(匯発[2019]7号第4条)。 業務手続は以下の通りである。 国内資金メイン口座の通貨種類については制限を設けず,マルチカレンシー口座(人民元を含む)とし,口座開設の数についても制限を設けない。 項目 ①主宰企業とは,多国籍企業に権限を付与され主体業務に係る届出,実施,データの報告・送付,状況のフィードバック等の職責を履行する,独立した法人格を備える1社の国内企業を指す。主宰企業がファイナンス・カンパニーである場合,それがクロスボーダー資金の取引に従事するときは業界管理部門の関連規定を遵守しなければならない。(匯発[2019]7号第2条) 主宰企業 の定義 ②主宰企業がファイナンス・カンパニーである場合,業界主管部門の規定を遵守し,合わせて多国籍企業クロスボーダー資金集中運営業務及びその他の業務(自社の資産・負債業務を含む)を分離記帳管理しなければならない。(匯発[2019]7号第9条) ①メンバー企業とは,多国籍企業の内部における互いに直接もしくは間接的に持分を所有する,独立した法人格を備える各社企業を指し,国内メンバー企業及び国外メンバー企業に分ける。 メンバー 企業の定義 ②主宰企業と直接もしくは間接的な持分所有の関係を有していないものの,同一の親会社が持分支配する兄弟企業に該当するものはメンバー企業に認定することができる。(匯発[2019]7号第2条) なお,匯発[2019]7号に基づき,メンバー企業は原則として独立した法人格が327

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