中国の外貨管理2023
334/393

項目 第3節 多国籍企業のクロスボーダー資金集中運営 国内企業が直物元転・外貨転業務の取扱を停止する場合,ファイナンス・カンパニーが所在地の外貨管理分局に以下の資料を提出しなければならない。 ①書面の申請(停止の原因及びその後の処理措置を説明する)。 ②企業が取扱停止を決定する文書。 ③取扱停止を申請するまでの業務展開状況の説明。 ④外貨管理局が求めるその他の関連資料。 所在地の外貨管理局はすべての申請資料を受け取った20営業日以内に,承認回答を発行し,合わせて国家外貨管理局に報告する。(第25条) 直物元転・ 外貨転業務取扱の停止 (出所)「国内企業内部メンバー外貨資金集中運用管理規定」 マクロプルーデンス管理モデルの採用 外債と国外貸付に対するマクロプルーデンス管理モデルを採用 主宰企業所在地の外貨管理局分支局(以下,「所在地の外貨管理局」という)は,主宰企業へ届出通知書を発行する際に,届出済みの集中限度額に基づき外債登記及び(もしくは)国外貸付に係る登記を一括で取り扱い,また主宰企業は通貨種類,債権者(もしくは債務者)に分けて1件ごとに外債(もしくは国外貸付)に係る登記を行う必要がなくなるとした。この他,銀行と企業は匯発[2015]36号にて定めた手入力の報告表の提出も不要となったうえ,匯発[2015]36号自体が同時に廃止となった。 一部の自由貿易試験区において試行されていた資本項目外貨収入の元転・支 払利便化措置が自由貿易試験区外の多国籍企業にも適用されるようになっ た。多国籍企業の主宰企業が国内資金メイン口座内の資本項目外貨収入に係 る支払・使用を行う際,従来行っていた協力銀行への1件ごとの真実性に係 る証明書類の事前提出を不要とした。取扱銀行は「顧客を理解する」「業務 を理解する」「審査の職責を尽くす」の業務展開の原則に基づき真実性・コ ンプライアンス性に係る審査を行わなければならない。 主宰企業は多国籍企業届出通知書の取得後1年以内に国内資金メイン口座を開設し,実際にクロスボーダー資金集中運営関連業務を取り扱わなければならない。これを実行しない場合,届出通知書発行満1年の日より失効する。多国籍企業は外貨管理局での届出後,そのクロスボーダー資金集中運営業務を停止することができる。 多国籍企業は主宰企業の国内資金メイン口座を主としてクロスボーダー資金集中運営関連業務を取り扱うことができる。また多国籍企業は経営上の必要性に基づき,1社の国外メンバー企業を選び,非居住者口座(NRA)を開設し,国外メンバー企業の資金を集中して運営・管理することも可能となる。外債及び国外貸付に係る登記手続の大幅な簡素化 資本項目外貨収入の元転・支払利便化の実施 参入・撤退メカニズムの整備 口座機能の調整・最適化 内容 外貨管理局は2019年3月15日付で「多国籍企業クロスボーダー資金集中運営管理規定」(跨国公司跨境资金集中运营管理规定)(匯発[2019]7号,以下,匯発[2019]7号という)を公布し,多国籍企業によるクロスボーダーの資金集中運営に関する実務規定を更新した。主な内容は以下の通りである。 326

元のページ  ../index.html#334

このブックを見る