中国の外貨管理2023
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第1節 国内企業外貨資金の国外貸付 多くの多国籍企業が中国をグローバルなサプライチェーンの一環に組み入れ事業を展開している。2014年6月に,一部地域で多国籍企業の地域本部を対象に試行された外貨資金集中管理の改革が全国に普及され,経常項目に係る外貨資金の集中受取・支払や貨物貿易の相殺差額決済(轧差净额结算)などが実施され,同年11月からはクロスボーダー人民元資金集中管理(クロスボーダー双方向人民元プーリング,経常項目に係るクロスボーダー人民元集中受取・支払を含む)が全国で展開された。15年9月からはクロスボーダー双方向人民元プーリング業務の参入条件が緩和された。19年3月に,外債(対外債務)及び国外貸付登記手続の簡素化,届出後の資本項目に係る外貨収入の元転・支払利便化改革の試行,国際外貨資金メイン口座の取消,国内資金メイン口座を中心とするクロスボーダー資金集中管理関連業務の取扱,従来3行までとする協力銀行の上限の撤廃などが行われた。同年10月18日付で公布された「多国籍企業クロスボーダー資金集中運営管理規定」に関するQ&Aでは,実務手続の詳細について解説された。 また,2020年6月から,条件を満たす国外貸付の登記抹消手続は銀行で行えるようになった。非金融企業の場合,国外貸付期間満了後,元利金を正常に回収すれば,所属の外貨管理分局(外貨管理部)管轄の銀行で直接国外貸付の登記抹消手続をすることができる。 なお,2020年12月に,人民元国外貸付の期限前返済額は国外貸付残高として加算しないほか,通貨転換因数は0から0.5へ調整された。 現行の外貨資金の国外貸付についての規定は,外貨管理局が2009年8月1日付で施行した「国内企業の国外貸付に係る外貨管理に関する問題についての通達」(国家外汇管理局关于境内企业境外放款外汇管理有关问题的通知)(匯発[2009]24号,匯発[2015]20号,国発[2016]11号により改定,以下,匯発[2009]24号とい316*** Point ***! 第17章 多国籍企業に対する資金管理

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