中国の外貨管理2023
32/393

(3)中国農業発展銀行 への支援)向け貸出残高1兆3,206億元(年初比1,017億元増加)となっている。 中国輸出入銀行の業務範囲は,主として輸出入及び海外進出(走出去)に対する貸出を提供することであり,輸出信用(バイヤーズクレジット,サプライヤーズクレジットを含む),輸入信用,海外建設プロジェクトの請負,海外投資に関する各種貸出のほか,ソフトローン(優遇ローン)業務なども取り扱う。 なお中国輸出入銀行は外国政府借款の国内転貸業務を引受けており,その業務のバランスシートは別建てで,21年末の転貸貸出の残高は123億米ドルであった。 ②債券発行による資金調達 中国輸出入銀行の資金調達は,国家開発銀行と同様に政策金融債の発行による。また,国際金融市場からの調達もある。なお中国輸出入銀行の財務決算は中国政府の財政部が審査承認し,政策貸出による損失は財政部が補填する。 2021年に国内で発行した元建て金融債は1.38兆元,国内インターバンク市場で合計18億米ドルの債券を発行した。 ③外国銀行との提携 これまで,中国輸出入銀行は中国企業の貿易促進を金融面からサポートしてきたが,近年では「一帯一路」構想を金融面で支える役割も担っており,外国銀行との提携を通じ,「一帯一路」関連諸国・地域への新規進出や,両地域での事業拡大を目指す企業などに対するサポートを強化している。 中国農業発展銀行は1994年4月19日に正式に設立され,本店は北京に置かれている。21年末時点の資本金は1,330億元。同行の貸出の目的は政府買上げ農産物のための貸出であり,買上げ農産物の売却代金により貸出が回収される。貸出先は,食糧,綿花,油糧作物,砂糖,豚肉,化学肥料などの重要な農産物・農業生産資材の国有買上げ機関である。また中央及び省レベルの財政による農業支援資金の交付代理業務,各レベルの政府による食糧リスク基金を受入れ,そこからの支払いの代理を行う。 2021年末時点で,同行は本店のほかに,全国に省レベルの分行31店・営業部30店,地市レベルの分行309店・営業部34店を有するほか,県レベルの支行1,686店がある。 ①経営指標 中国農業発展銀行の2021年アニュアルレポートによれば,同銀行21年末の総資産は7兆9,833億元,貸出金残高は6兆6,873億元,税引後利益は248億元であった。不良債権比率は年初比で横ばいの0.36%であった。 中国農業発展銀行の業務は,主として穀物,綿花などの重要な農産物の買い上げ・備蓄などのための貸出,農業・農村インフラ施設及び水利プロジェクトの建設など農業・農村・農民関連事業の資金面での支援である。 24

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る