中国の外貨管理2023
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1.国内個人の外貨取引に対する管理 区分種類 元転・外貨転に対しては年度総額管理を実施する。年度総額は1人当たり毎年5万米ドル相当である。 元転に対しては年度総額管理を実施する。年度総額は1人当たり毎年5万米ドル相当である。 国内個人 国外個人 経常項目 外貨と人民元との兌換を可とする。銀行で取り扱う。 許容された範囲内であれば銀行で取り扱う。範囲を超えるときは外貨管理局が審査する。 資本項目 (注)「国外個人」とは「旅券,香港・マカオ住民内地往来通行証,台湾住民大陸往来通行証を保有する外国公民(無国籍者を含む)及び香港・マカオ・台湾同胞である」と定義している(「規則」37条)。中国駐在の日本籍社員,出張者及び観光客も国外個人とみなされる。 (出所)「個人外貨管理規則」「個人外貨管理規則実施細則」 取引の種類 対外貿易経営者外貨収支 経常項目 個人事業主外貨の収支 対外直接投資 証券・金融 商品への投資 外貨建て生命保険料の支払 資本項目の受取外貨の元転 対外寄贈, 財産移転 資本項目 与信取引 国外への金融投資 外貨建て保険料の支払 (出所)「個人外貨管理規則」「個人外貨管理規則実施細則」など 管理原則 管理原則 「規則」及び「細則」では経常項目,資本項目の国内個人に対する外貨管理について次の通り定めている。 商務部門での対外貿易経営権登記・届出後,貿易に係る外貨収支は,法人に対する扱いと同様。(「規則」第10条) 工商登記,その他の事業者手続完了後,関連書類を以って対外貿易経営権を有する企業に対し輸出入の代理,観光・ショッピング,国境小口貿易などに係る外貨の受取・支払,振替,元転を委託することができる。(「規則」第11条) 外貨管理局の審査認定を受け,外貨転あるいは自己保有外貨で仕向送金できる。国外投資外貨登記が必要。(「規則」第16条) 「直接投資外貨管理政策のさらなる簡素化及び改善に関する通達」(匯発[2015]13号,匯発[2019]39号により改定)によると,銀行で外貨登記手続を行う。 B株購入,国外の出資権益や固定収益に属する投資,国が承認したその他金融投資は,業務資格を有する国内金融機関を通じ取り扱う。(「規則」第17条) 国内保険会社に支払う外貨建て生命保険に係る保険料は,購入した外貨,あるいは自己保有外貨で支払う。(「規則」第18条) 国外で取得した合法的な資本項目の受取外貨は,外貨局の認定を受けた後,元転ができる。(「規則」第19条) 外貨を購入し対外支払するときは,外貨局の審査認定を受けなければならない。(「規則」第20条) 国外宛貸出,対外債務調達,対外保証差入,国外商品先物ならびに金融派生商品取引への参加は,外貨局で関係登記手続を行わなければならない。(「規則」第21条) 銀行・ファンド管理会社などの適格国内機関投資家を通じて,外貨あるいは人民元で国外の固定収益や出資権益などに属する金融投資ができる。(「細則」第17条) 国内保険会社に対し外貨建て保険料を支払うときは,保険契約,保険会社の請求書を持参し,銀行で外貨転して支払手続を行う。(「細則」第19条) 301

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