中国の外貨管理2023
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第5節 配当金の対外送金に係る規制 2.税務届出の電子化 時に提出しなければならない。同一契約で数回の対外支払が必要な場合,毎回の支払前に税務届出手続を行わなければならないが,契約書(協議書)あるいは関連取引証憑の写しは初回のみ提出すればよい。 「届出表」の記入事項に問題がなければ,その場で1部が返却され,これを以って外国為替指定銀行で対外支払手続を行う。一方,税務機関は「届出表」受理後15営業日以内に審査を行い,税金未納等がないかを確認する。 クロスボーダー貿易・投資の利便化を促進するために,国家外貨管理局は2019年10月25日付で「クロスボーダー貿易・投資利便化のさらなる促進に関する通達」(关于进一步促进跨境贸易投资便利化的通知)(匯発[2019]28号)を公布し,試行的にサービス貿易に係る外貨収支の利便化を行った。サービス貿易に係る外貨支払関連の税務届出の電子化を推進し,情報共有方式による銀行審査の電子化を実現するとした。 上海市銀行外為・クロスボーダー人民元自律メカニズムが2019年12月26日付で公布した「サービス貿易等項目の対外支払に係る税務届出の電子化に関する問題についての回答」(服务贸易等项目对外支付税务备案电子化相关问题解答)に基づき,税務届出電子化後,届出者は主管税務機関へ出向き,紙ベースの税務届出表をプリントアウトする必要がなくなる。届出者は国家税務総局上海市電子税務局(以下「電子税務局」という)にアクセスし,「サービス貿易等の項目の対外支払に係る税務届出」モジュールを選択し,届出手続を取り扱うことができる。契約項目などの届出情報の記入,社印/公印を捺印した契約(協議)あるいは関連取引証憑の写しのアップロードを行い,問題がないことを確認したうえで,電子税務局へ提出する。提出完了後,税務届出番号が自動的に生成する。 銀行は,届出者が提供する税務届出番号と納税者識別番号に基づき税務届出情報を確認する。問題がないことを確認した後,税務機関の電子印鑑を捺印した「サービス貿易等項目の対外支払に係る税務届出表」をプリントアウトし,現行の外貨管理関連規定に基づき,外貨の対外送金を行う。 2014年2月10日から施行された「資本項目外貨管理政策のさらなる改善及び調整に関する通達」(关于进一步改进和调整资本项目外汇管理政策的通知)(匯発[2014]2号)により,国内機関による配当金の対外送金に係る規制は緩和された。この時点で配当金の対外送金は外貨管理局による認可が不要であったが,本通達実施後は,送金298

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