中国の外貨管理2023
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2.取扱銀行による関係書類の確認・審査 が国内に設立する派出機関・代表処及び国外個人が国内の不動産を譲渡する場合の所得資金の外貨購入・支払」(1.25 境外机构在境内设立的分支,代表机构及境外个人转让境内商品房所得资金购付汇)の規定に基づき行う。 また,国家外貨管理局が2015年6月8日付で公布した「サービス貿易外貨管理に関するQ&A」に基づき,国外個人が中国国内から取得したサービス貿易,収益及び経常移転項目に係る人民元収入の外貨転・対外支払を行う際,本人の身分証明書,取引金額を記載する関連証明書類(税務証憑を含む)を以って手続を行うことができる。このうち,税務証憑には,税務機関が発行した「サービス貿易等項目の対外支払に係る税務届出表」あるいは税金汎用納付書(税收通用缴款书)などの証明書類がある。 (1)サービス貿易における1件当たり5万米ドル相当以下の外貨受取・支払業務 2020年8月31日付で公布された『「経常項目外貨業務手引(2020年版)」の印刷・公布に関する通達』(国家外汇管理局关于印发<经常项目外汇业务指引(2020年版)>的通知)(匯発[2020]14号,以下,匯発[2020]14号という)では,サービス貿易における1件当たり5万米ドル相当以下の外貨受取・支払を取り扱う際は,原則として銀行の書類審査を不要としたが,資金の性質が不明確な場合,銀行は,国内機関及び国内個人に対し取引証明書類の提出を要求し,その合理性を審査すると定めた。 (2)サービス貿易における1件当たり5万米ドル相当超の外貨受取・支払業務 サービス貿易における1件当たり5万米ドル相当超(5万米ドル相当は含まず)の外貨受取・支払について,銀行は業務展開の原則に基づき,取引証明書類に記載される取引主体,金額,性質などの要素が,申請された外貨受取・支払業務と一致することを確認しなければならない。1件当たり5万米ドル相当超のサービス貿易に係る対外支払について,国内機関及び個人はサービス貿易の対外支払に係る税務届出関連規定に基づき,事前に届出手続を行わなければならない。銀行はサービス貿易等項目の対外支払に係る紙ベースあるいは電子版の税務届出表を確認・検査しなければならない(匯発[2020]14号)。 また,1件の対外支払に2種類以上の取引があり,且つ税務届出不要の取引が存在する場合,国家外貨管理局が2018年6月に公布した「経常項目外貨管理業務に関するQ&A」(2018年第1期)に基づき,銀行は取引の性質を区別した上で,その真実性を審査しなければならない。1件のサービス貿易に係る対外支払において,銀行は「40号公告」に基づき税務届出が必要とされる5万米ドル相当超の取引のみ審査する。 294

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