中国の外貨管理2023
299/393

中国では貨物輸入の代金やサービス貿易の対価の対外決済は,銀行が取引1件ごとに適法性・真実性を確認し,特殊なケースについては外貨管理局が直接確認する管理が行われてきたが,2013年9月から,サービス貿易における1件当たり5万米ドル相当額以下の外貨受取・支払を取り扱う際は,原則として銀行の書類審査が不要となったほか,5万米ドル相当額を超える外貨受取・支払時に必要となる審査書類は大幅に簡素化された。 サービス貿易及び資本取引に関連する対外送金で,その支払外貨が国外の送金受取人の所得と認定される場合は,中国に源泉のある所得として,送金前に中国での納税が必要である。サービス貿易に係る5万米ドル相当超(5万米ドル相当は含まず)の対外送金の場合,原則として事前に主管税務部門で税務届出を行う必要がある。21年7月2日に公布された「サービス貿易等項目の対外支払に係る税務届出に関連する問題についての補充公告」(关于服务贸易等项目对外支付税务备案有关问题的补充公告)(国家税務総局国家外貨管理局公告2021年第19号)では,同一契約につき複数回の支払における税務届出回数の削減,届出免除範囲の拡大などの利便化措置が打ち出された。 また,外資系企業の利益,株式配当,特別配当の対外支払については,2020年8月31日付で公布された『「経常項目外貨業務手引(2020年版)」の印刷・公布に関する通達』(匯発[2020]14号)では,直接投資による利益の対外送金に係る管理規定に基づき取り扱うと定めた。 中国では経常取引に係る外貨の受取・支払に際して,取扱金融機関(銀行)はそ の背景となる経常取引が真実かつ合法であることを確認しなければならない。 「外国為替管理条例」第5条は「経常取引の国際支払及び移転に対して制限を加えない」(国家对经常性国际支付和转移不予限制)と定めている。一方で第12条では「経常項目の外貨の受取・支払は真実で,合法的な取引の基礎(真实、合法的交易基础)を備えていなければならない。元転・外貨転業務を営む金融機関は,国務院の外国為替管理部門の規定にしたがって,取引関係書類の真実性及び外貨の受291*** Point ***! 第15章 対外送金と税務届出

元のページ  ../index.html#299

このブックを見る