中国の外貨管理2023
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22「北京银行股份有限公司与ING Bank N.V.关联交易事项的公告」2019年3月22日 23「深圳银保监局关于深圳农村商业银行股份有限公司定向募股方案及新加坡星展银行有限公司股东资格的批复」(深銀保監復[2021]221号) 1.アジアインフラ投資銀行 第12節 中資系金融機関 監会令[2018]第5号,銀保監会令[2020]第6号により改定)により,中資系銀行及び金融資産管理会社に係る外資持分比率の制限が撤廃された。 2019年3月22日に,中国国有銀行の北京銀行は,上海証券取引所の公告を通じオランダING Bank N.V.との合弁銀行設立を発表した。設立予定の合弁銀行の資本金は30億元で,出資比率はING Bank N.V.が51%,北京銀行が49%である22。中資系銀行に係る外資持分比率の制限撤廃後,外資過半出資の合弁銀行の第1号となった。 2021年4月20日に,深セン銀保監局は,公告でシンガポールのDBS銀行による深セン農村商業銀行の株式13%の取得を承認したことを発表した23。株式取得完了後DBS銀行は深セン農村商業銀行の筆頭株主となり,深セン農村商業銀行は,海外機関投資家を導入した初の中小商業銀行となる。 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(亚洲基础设施投资银行,略称AIIB)は,本部を北京に置く初めての国際開発金融機関として2015年12月に発足した。 当初,東アジア,東南アジア以外の国の参加はないと観測されたが,実際には創設メンバーとなるための期限である2015年3月31日までに,イギリス,ドイツ,フランス等ヨーロッパの主要国を含む57ヵ国・地域が参加を表明した。創設メンバー57ヵ国のうち50ヵ国が参加する形で15年6月29日に,設立協定の署名式が北京の人民大会堂で開催された。中国財政部が公表したAIIB設立協定によると,資本金1,000億米ドルのうち,中国は約29.8%の298億米ドルを拠出し,インド8.4%,ロシア6.5%,ドイツ4.5%がそれに続く出資比率となった。重要事項の決定は75%以上の賛成が必要となるため,中国が単独で拒否権を握ったことになる。 一方,AIIBと業務内容が一部重複するアジア開発銀行(ADB)の筆頭出資国でもあるアメリカ合衆国と日本は,ガバナンスがない,国際金融機関が融資先に対する審査の透明性に欠けるなどの疑問があるとして参加を見送った。 また,AIIBは中国が目指す「一帯一路」(One Belt and One Road)構想を支える国際機関でもある。「一帯一路」は,北京からカザフスタン,ウズベキスタン,イラン,ギリシャ,トルコ経由でロシアやヨーロッパにまで繋がるシルクロード経済帯(一帯=One Belt)と,南シナ海からインド洋を抜けてケニア,アフリカ大陸に至る海洋ルート(一路=One Road)を指す。中国は自国の貿易ルートであるこのエリアを開発す21

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