中国の外貨管理2023
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5.銀行の国内保証・国外借入業務に対する外貨管理の改善 また,「国内機関が,国内保証・国外借入の規定にしたがい,国外機関(債務者)のために保証を差し入れる際に,その他の国内機関が債務者のために行う裏保証につき,国内保証・国外借入に準じた管理は行わない。ただし,関連の外貨管理規定に合致していなければならない」と規定している。 これは,主に中資系企業の国外でのM&Aなどのための資金調達に対し,中国国内の金融機関が融資保証をする場合に,その他国内企業が中国国内でその金融機関の保証に対し裏保証を差し入れるケースを想定しているものである。 (2)物権担保 匯発[2014]29号では,物件担保の外貨管理方式についても規範化している。保証人が第三者である債務者のために債権者に差し入れる物権担保が,国内保証・国外借入となる場合,国内保証・国外借入の関連規定にしたがって保証登記手続を行い,併せて関連の制限的な規定を遵守しなければならない。だだし,外貨管理局はそれぞれの保証当事者が設定する担保物権の合法性に対して審査を行わない。保証各当事者は,保証契約内容が国内外の関連法律・法規及び業界主管部門の規定に合致していることを自ら確認しなければならない。 「銀行による国内保証・国外借入に係る外貨管理の改善に関する通達」(国家外汇管理局综合司关于完善银行内保外贷外汇管理的通知)(匯綜発[2017]108号)では,匯発[2014]29号,匯発[2017]3号の関連管理要求につき重ねて強調している。このうちの一部条項については,匯発[2017]3号に対する「政策に関するQ&A(第2期)」の内容を規範性文書の形式で公布したものであり,且つ保証履行のプロセスにおける管理を強化している。また2021年1月22日付で公布された「資本項目外貨業務手引」(2020年版)は,上記規定の内容を統一した。 (1)債務者の主体資格に対する真実・コンプライアンス性審査の厳格化 銀行に対し国内保証・国外借入業務を行う際,「債務者の主体資格の真実・コンプライアンス性を厳格に審査し,合わせて関連の審査材料を保管し検査に備えなければならない」とし,且つ「債務者が,国内居住者により直接または間接的に支配される国外機関である場合,銀行はそれが国外投資関連の管理規定に合致しているか否かにつき重点的に審査をしなければならない」とした。 現行の規定に基づき,国内機関による国外投資は国家発展改革委員会,商務部,外貨管理局など主管部門の管理規定を遵守しなければならない。このため,銀行は国内保証・国外借入業務を展開するにあたり,国外債務者の設立が上述の主管部門264

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