中国の外貨管理2023
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第2節 国内保証・国外借入 「クロスボーダー保証外貨管理規定」(跨境担保外汇管理规定)及び「クロスボーダー保証外貨管理オペレーション手引」(跨境担保外汇管理操作指引)(匯発[2014]29号の付属文書,以下,匯発[2014]29号という)で,国内保証・国外借入(内保外贷)に係る外貨管理局による事前認可,保証履行時の認可,大部分の資格規制などは廃止されたが,契約締結後の外貨管理局での個別登記は依然として必要となっている。従来,銀行が差し入れる対外融資保証に対しては残高枠管理が実施され,ノンバンク金融機関及び企業が差し入れる対外融資保証に対しては案件ごとの個別審査許可の管理方式が採用されてきたが,匯発[2014]29号の公布により,国内保証・国外借入の残高枠管理及び外貨管理局による事前認可が廃止され,契約締結後の登記が主な管理方式となった。また,保証人・被保証人の純資産比率,出資関係などの資格要件も廃止された。国内保証・国外借入の規制緩和は,中資系企業の海外進出における資金調達問題の解決の一助となろう。 2017年1月26日から施行された「さらに外貨管理改革を推進し,真実・コンプライアンス性審査を完善化することについての通達」(关于进一步推进外汇管理改革完善真实合规性审核的通知)(匯発[2017]3号,以下,匯発[2017]3号という)では,国内保証・国外借入に係る資金使途の規制が緩和され,国内への戻入・使用が認められた。同年4月27日付で公布された上記匯発[2017]3号に対する「政策に関するQ&A(第2期)」では,その実務手続について詳細が説明された。 また,国家外貨管理局は,2017年下期以降,銀行の国内保証・国外借入業務を検査した際に発見した問題について,同業務に係る外貨管理の段階的な強化を進めつつある。同年11月24日付の「銀行による国内保証・国外借入に係る外貨管理の改善に関する通達」(关于完善银行内保外贷外汇管理的通知)(匯綜発[2017]108号,以下,匯綜発[2017]108号という)では,「政策に関するQ&A(第2期)」における内容を正式な文書の形で公布した。 なお,2021年1月22日付で公布された「資本項目外貨業務手引」(2020年版)は,上記規定の内容を統一した。 その他2018年2月1日に公布された「保険機関による国内保証・国外借入業務の規範化に係る関連事項に関する通達」(关于规范保险机构开展内保外贷业务有关事项的通知)(保監発[2018]5号)(「保険資金の運用に関する一部の規定の修正に関する通知」(关于修改保险资金运用领域部分规范性文件的通知)(銀保監発[2021]47号)(以下銀保監発[2021]47号という)により一部改正)では,保険機関による国内保証・国外借入業務の規範化が図られた。 以下は,匯発[2014]29号を中心に,匯発[2017]3号及び「政策に関するQ&A(第2257

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