中国の外貨管理2023
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④ 前年度末の会計監査済の債務者の財務諸表 ⑤ 外貨管理局が国外保証・国内借入業務のコンプライアンス性,真実性を確認・検査するために,提出を要求する可能性のあるその他の書類(例えば, などの書類を,中資系企業の場合は営業許可証を提出する 国外債権者の登録文書もしくは個人の身分証) 外貨管理局は,対外債務の契約登記の段階で,債務者の国外保証・国内借入業務のコンプライアンス性に対し事後の確認・検査を行う。規定違反を発見した場合,外貨管理局は,規定違反案件を外国為替検査部門に引き渡した後,それのために対外債務の登記手続を行うことができる。 (3)保証履行後の対外債務の限度額 「投注差」管理モデルの場合,国内債務者の国外保証・国内借入の保証履行による対外債務につき,その未償還元本残高はその前年度末の監査済の純資産金額を超えてはならない。超えた部分は債務者自身の外債枠を占有する。対外債務の限度額がそれでも不足するときは,承認なしに,勝手な対外借入として処分する。国内の金融機関が国内の複数の債務者に対し実行する貸出ポートフォリオのために,国外保証人が部分保証(リスク・パーティシペーション)を差入れ,保証履行(保証支払)が発生した後に,契約で国内の金融機関が国外保証人の代理として債務者に対し債務を求償すると約定している場合は,代理金融機関が外貨管理局に対し,対外債務の登記データを報告する。その未償還元本残高は,当該保証契約に関するそれぞれの債務者の前年末の会計監査済の純資産額の合計を超えてはならない。 「全範囲クロスボーダー融資マクロプルーデンス管理政策に関するQ&A(第1期)」によると,全範囲クロスボーダー融資マクロプルーデンス管理モデルの場合,国外保証・国内借入に係る保証履行により形成された対外負債については,債務者自身のクロスボーダー融資リスク加重残高に直接計上され,別途,他の枠は与えられないと規定している。 (4)保証履行後の新たな国外保証・国内借入契約の調印制限 国内債務者が行う国外保証・国内借入業務に保証履行が発生するときは,国内債務者がその国外保証人に対し債務を皆済するまでは,外貨管理局の承認がない限り,国内債務者は,新たな国外保証・国内借入契約の締結を当面停止しなければならない。国外保証・国内借入契約には既に締結済であるが,一部の引出あるいは全額の引出が行われていないときは,所在地の外貨管理局の承認がない限り,新たな引出を当面停止しなければならない。 256

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