中国の外貨管理2023
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第8節 人民元建て対外債務の管理問題 3.対外債務口座の閉鎖 4.遠隔地の銀行での口座開設 規定に基づき契約届出(登記)を行った対外債務の代り金及びその預金利息、弁済日までの5営業日以内に入金する弁済用資金、及び規定に基づく外債資金のヘッジによる収入。 ② 払出範囲 経常項目の対外支払、規定に基づく元転,規定に基づく資本項目の支払、及び規定に基づく外債資金のヘッジによる支出。 一方,債務者は契約書に基づき,弁済日までの5営業日以内に,外貨転後の外貨あるいは自己保有の外貨を外債口座に振り替えることができる。その金額が当該外債の次期返済すべき元利金及び関連費用の合計を超えてはならない。またすでに外貨転し,かつ規定に基づき外債口座に入金した外貨資金について,外貨管理局の許可を受けずに再度元転してはならない。 銀行は非銀行債務者のために,外債口座を閉鎖する際,当該口座の残高がゼロで,かつ今後引出を行わないことを確認しなければならない。 特別な経営ニーズにより,非銀行債務者が所属の外貨管理分局の管轄区域外の銀行で口座を開設しようとするときは,その登録地の外貨管理局で許可を受けなければならない。 人民元建て対外債務(人民币外债)とは,クロスボーダーの元建て債務を指す。人民元建てクロスボーダー業務の急速な拡大にともない,人民元建て対外債務の規模が増加しつつあることから,当局は人民元・外貨建て対外債務に対し一体化管理の試行を開始した。当初,当該管理モデルは中国(上海)自由貿易試験区で試行された。2016年1月から,人民元・外貨の資金調達を一本化した全範囲クロスボーダー融資マクロプルーデンス管理の試行範囲は27の金融機関及び上海,天津,広東,福建の4自由貿易試験区内に登録する企業に拡大された。さらに,同年5月に,試行範囲は全国の企業及び金融機関に拡大された。企業及び金融機関は,そのクロスボーダー融資リスク加重残高がクロスボーダー融資リスク加重残高上限額を上回らない場合,自主的に人民元・外貨のクロスボーダー資金の調達ができる。 240

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