中国の外貨管理2023
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場合は事後届出に改めた」としている。当該通達の「届出」は外債契約の登記に相当するものといえる。 外資系企業は,初めて外債契約の登記を行う際に,所在地の外貨管理局へ選択したクロスボーダー融資の管理モデルにつき書面で報告する。管理モデル決定後は,変更してはならない2。 また,「Q&A」では,企業に対して毎年1回目の外債契約届出(登記)を行う際,所在地の外貨管理局へ前年末あるいは直近1期の監査済財務諸表を提出し,書面により前年末あるいは直近1期の監査済純資産を届出するとしている。 A.申請の時期 企業は,クロスボーダー融資契約締結後から引出日の3営業日前までの間に,外貨管理局の資本項目情報システムにてクロスボーダー融資情況契約届出を行わなければならない。 ただし,国家外貨管理局上海市分局が公布した「資本項目外貨管理業務取扱手引(2020年5月)」では,財政部門,銀行以外のその他の国内債務者(以下「非銀行債務者」という)は対外債務契約調印後,15営業日以内に所在地の外貨管理局で「対外債務契約登記手続」を行わなければならないとした。そのため,実務上は,各地の外貨管理局の関連規定を確認されたい。 対外債務契約登記後,外貨管理局は非銀行債務者に,資本項目業務印章を捺印した「国内機関の対外債務調印情況表」及び「業務登記証憑」を発給する。 B.審査書類 国家外貨管理局上海市分局のウェブサイトに掲載されている「資本項目外貨管理業務取扱手引(2020年5月)」では,提出する審査用書類について,次の通り定めている。 ① 登記申請書。申請書のなかで,債務者・債権者双方,借入金額,利率,借入期限,使途,引出及び返済計画などを明確にしなければならない。申請書には,直近1期の財務諸表における現金,銀行預金,その他の未収金,純資産,総資産などに関する詳細な説明が必要である。現金,銀行預金,その他の未収金などの金額が大きい場合,資金が十分あるが外債を借り入れる理由を説明しなければならない。 ② 「国内機関の対外債務情報表」(債務者,債権者,資金使途などを記入) 233 2 国家外貨管理局上海市分局及び深セン市分局はそれぞれ関連通達を公布し,「投注差」管理モデルを選択した区内企業に対しクロスボーダー融資マクロプルーデンス管理モデルへの切り替えを認めた。

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