第１０節 第14次五ヵ年計画から見る金融体制の改革 する必要のあるときは，人民銀行が構築した「ネットワーク公民身分情報確認システム」（联网核查公民身份信息系统）を通じて確認調査をおこなわなければならないと定めている。 公安部が保有する「全国人口基本情報データベース」（全国人口基本信息库）には13億人近くのデータが蓄積されている。銀行側からネットワークを通じて確認請求を受けた場合，公安部のシステムは身分証データが一致する場合は，対象人物の写真と身分証の発行機関名を銀行側にフィードバックする（反馈核查人的照片和签发机关）。不一致の場合には「不一致」と提示するだけで，その他の情報には触れない。また公安機関が把握しているその他情報にはもちろん触れないとしている。 「規則」はもともと同年3月より施行予定だったが，人民銀行は2月21日に一部の中小金融機関による内部管理制度，情報システム，業務プロセスの見直しなど技術要因があったため，新規則の施行を見合わせると発表した。新たな施行日は本書更新時点でまだ明らかにされていなかった。 「中国国民経済・社会発展第14次五ヵ年計画」では，金融に係る供給側の構造改革に関し，以下の内容を掲げている。 ①高度な適応性と競争力を有し，インクルーシブ型の現代的金融システムを整備し，金融が実体経済を効果的にサポートする体制メカニズムを構築する。 ②現代的な中央銀行体制を構築し，マネーサプライに係る制御メカニズムを完備させる。 ③デジタル通貨の研究開発を着実に進める。 ④自由化金利の形成と伝導メカニズムを整備し，中央銀行の政策金利体系を改善し，貸出プライムレート（LPR）のベンチマーク機能を更に発揮させる。 ⑤金融体系の構造を最適化し，国有商業銀行の改革を深化させ，中小銀行及び農村信用組合のガバナンス構造の改善を加速し，ノンバンクを規範的に発展させ，ファイナンシャル・インクルージョンを強化する。 ⑥政策金融を改革・最適化し，国家戦略及び計画へのサービス提供を強化する。 ⑦保険会社の改革を深化させ，商業保険の保障能力を高める。 ⑧金融機関のコーポレート・ガバナンスを健全化し，株主持分と関連取引に対する監督管理を強化する。 ⑨資本市場の基礎制度を改善し，多層的な資本市場体系を整備させ，機関投資家を大いに発展させ，直接融資，特にエクイティ・ファイナンスの割合を高める。 ⑩新規株式公開（IPO）登録制を全面的に実施し，常態化した上場廃止メカニズム13
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