中国の外貨管理2023
203/393

195 第1節 貿易信用管理の概要 1.貨物貿易外貨管理における貿易信用の扱い 貿易信用に対する規制は,貨物貿易外貨管理制度により統一管理されており,企業は貿易信用が発生するときは,外貨管理局へ貿易信用情報を報告しなければならない。外貨管理局は,総量モニタリングで,企業の貿易信用の規模に対し比率管理を実施する。貿易信用の規模が一定比率を超える場合,外貨管理局は立入検査を実施することが可能である。 貿易信用の統計・調査作業のさらなる改善を図るため,外貨管理局は2021年11月30日に新たな「貿易信用統計調査制度」(匯発[2021]33号)を施行し,年度調査を廃止したと同時に,調査対象企業の範囲を拡大した。 また,2020年8月31日付で公布された『「経常項目外貨業務手引(2020年版)」の印刷・公布に関する通達』(匯発[2020]14号)でも,貨物貿易外貨管理制度における貿易信用に係る規定について言及した。 この章では,貨物貿易外貨管理制度における貿易信用の取扱について説明する。 企業は貿易信用を外貨管理局に対し報告する義務がある。外貨管理局は,企業からの報告及び貨物貿易代金の受取・支払に対するモニタリングを通じて「不適切な取引がないか」を監視している。不適切な取引に対しては,企業への立入検査などを通じて摘発し処分する。 2012年8月1日より施行した「貨物貿易外貨管理手引」第8条は,「外貨管理局は,企業の貿易信用に対し,総量モニタリング(总量监测)を行い,企業の貿易信用の規模に対し比率管理を実施する(对企业贸易信贷规模实施比例管理)。企業は規定にしたがい,外貨管理局に対し貿易信用情報を報告しなければならない」とした。また第19条では「外貨管理局は,貿易信用,中継貿易などの特定の業務,及び保税監督管理区域の企業などの特定の主体に対しては,特定モニタリング(专*** Point ***! 第6章 貿易信用の管理制度

元のページ  ../index.html#203

このブックを見る