中国の外貨管理2023
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2.金融機関の資金洗浄対策に対する監督管理 3.金融機関による顧客の身分識別・確認 銀保監会は2019年2月21日付で「銀行業金融機関アンチマネーロンダリング及びテロ資金供与対策管理規則」(银行业金融机构反洗钱和反恐怖融资管理办法)(銀保監会令[2019]第1号)を公布し,銀行に対し全体的なリスク管理体系にマネーロンダリングやテロ活動のリスクを盛り込むことや,内部コントロール制度の整備を求めている。市場参入の面では銀行業金融機関の設立に当たって,株主,管理層の犯罪歴調査や資金源に関する合法性のチェック,資金洗浄対策及びテロ資金供与対策に関わる内部統制制度を備えることなどを審査条件として挙げた。 また,人民銀行と外貨管理局は2021年2月1日付で「銀行によるクロスボーダー業務のアンチマネーロンダリング及びテロ資金供与対策ガイドライン(試行)」(银行跨境业务反洗钱和反恐怖融资工作指引(试行))(銀発[2021]16号)を公布し,銀行に対して,同ガイドラインに基づいた関連業務手引の作成,クロスボーダー業務に係る資金洗浄及びテロ資金供与リスクの確実な防止を行うよう求めた。さらに人民銀行は同年4月16日付で「金融機関アンチマネーロンダリング及びテロ資金供与対策監督管理規則」(金融机构反洗钱和反恐怖融资监督管理办法)(人民銀行令[2021]第3号)を公布した。主な内容は以下の通りである。 ①マネーロンダリングに対する規制措置や手段の最適化。具体的には,金融機関にタイムリーに問題やリスクを提示できるよう質疑措置の廃止と「アンチマネーロンダリング監督管理提示書簡」(反洗钱监管提示函)の新設など ②アンチマネーロンダリングの監督管理対象範囲に,非銀行支払機関,ネット小口ローン会社,消費者金融会社,貸付会社,銀行の資産運用子会社などの新規追加 資金洗浄対策法に関連し,人民銀行,銀保監会などは2022年1月26日に「金融機関のデューディリジェンス及び顧客身分資料ならびに取引記録保存管理規則」(金融机构客户尽职调查和客户身份资料及交易记录保存管理办法)(人民銀行 銀保監会 証監会令[2022]第1号)を公布した。アンチマネーロンダリング及びテロ資金供与対策を目的に高額な現金の出入金に制限をかけた。個人が銀行で現金の預入・引出をするとき,1件当たり金額が人民元で5万元以上,外貨の場合は1万米ドル相当以上の場合,銀行は顧客の身分識別・確認義務(日本でいう本人確認義務のこと)を履行するほか,入金時資金源の確認・記録,出金時使途の確認・記録を行わなければならないとした。また「規則」の適用対象範囲は第三者決済機関,資産運用会社などにも拡大された。 「規則」第24条は,金融機関がデューディリジェンスを実施する際,関係法規の規定に従い自然人の第二世代居住者身分証明書(第二代居民身份证)を確認(核实)12

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