中国の外貨管理2023
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第9節 資金洗浄対策 (2)金融持株会社に対する監督管理枠組みの構築 1.大口取引,疑わしい取引報告 要件 2025年1月1日以降 2028年1月1日以降 16%以上 6%以上 また同日に人民銀行,銀保監会,財政部は「ローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収能力管理規則」(全球系统重要性银行总损失吸收能力管理办法)(人民銀行 銀保監会 財政部令[2021]第6号)を施行し,金融の不安定化を回避するためにシステム上重要な銀行に損失吸収能力の強化を義務付けた。国際的な大手金融機関に課す健全性基準「総損失吸収力(TLAC)」の監督管理体制を構築し,対象銀行に対し25年から以下の要件を達成しなければならないとした。 人民銀行は2020年11月1日から「金融持株会社監督管理試行規則」(金融控股公司监督管理试行办法)(人民銀行令[2020]第4号)を施行し,金融持株会社の設立申請時の提出資料や,禁止行為,罰則などを具体的に定めた。21年5月1日に「金融持株会社董事,監事,高級管理人員任命届出管理暫定規定」(金融控股公司董事、监事、高级管理人员任职备案管理暂行规定)(人民銀行令[2021]第2号)を施行した。 2006年10月に「資金洗浄対策法」(反洗钱法)(中華人民共和国主席令第56号)が成立し,07年1月1日に施行された。資金洗浄は,中国語では「洗銭」といい,マネーロンダリングの直訳である。 人民銀行は,2018年7月26日に改定後の「金融機関の大口取引及び疑わしい取引報告管理規則」(金融机构大额交易和可疑交易报告管理办法)(人民銀行令[2018]第2号)を施行した。中国の資金洗浄対策は,人民銀行が中心となって実施することとされている。具体的には,人民銀行が中国資金洗浄対策監視分析センター(中国反洗钱监测分析中心)を設立し,金融機関からの人民元,外国通貨の大口取引及び疑わしい取引報告の受取に責任を負う。なお,「『金融機関の大口取引及び疑わしい取引報告管理規則』に関する執行要求についての通達」(中国人民银行关于《金融机构大额交易和可疑交易报告管理办法》有关执行要求的通知)(銀発[2017]99号)では,消費者金融会社,ローン会社,保険専業代理会社,保険ブローカー会社に対する大口取引及び疑わしい取引報告の要求が明確にされた。 リスク・アセットに対する要件注1 レバレッジ・エクスポージャーに対する要件注2 注1:TLACがリスク加重資産に占める比率 注2:TLACが調整後の資産残高に占める比率 (出所)「ローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収能力管理規則」 18%以上 6.75%以上 11

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