中国の外貨管理2023
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② 取引に合理性,ロジック性がある。 同一のオフショア転売取引は原則上,同一の銀行で,同一の通貨(外貨もしくは人民元)で収支の決済を取り扱わなければならない。この規定に従ってオフショア転売取引を取り扱うことができない場合は,銀行はその真実性・合法性を確認したうえで直接取り扱うことができる。この場合,国際収支申告取引の備考欄に「特殊オフショア転売」(特殊离岸转手)と明記し,当該業務の取扱日より5営業日以内に,所在地の外貨管理局に報告する。(「手引(2020年版)」第14条) なお,2022年1月24日より施行された「新型オフショア国際貿易の発展支援関連問題に関する通達」(关于支持新型离岸国际贸易发展有关问题的通知)(銀発[2021]329号)では,銀行の新型オフショア国際貿易のクロスボーダー資金決済業務に対する取り扱いについて,下記のように規定した。 銀行は,「形式より実質重視」の要求に従い,業務展開原則に基づき,下記の規定に照らし審査する取引エビデンスの種類を自主的に決定する。  取引が真実・合法的であり,かつビジネス上の合理性および論理性を備 合理的な審査を経て,虚偽あるいは虚構の新型オフショア国際貿易を利用した投資/サヤ取り・規定違反の資金移動あるいは銀行からの融資の詐取などの異常な状況への嫌疑がない。 証憑への記載 (出所)『「経常項目外貨業務手引(2020年版)」の印刷・公布に関する通達』 項目 オフショア 転売取引に係る外貨受取・ 支払業務 外貨現金に よる元転 貨物貿易に 係る受取・支払 情報申告 内容(抜粋) 銀行は規定に基づき,経常項目に係る外貨受取・支払を審査する際,内部統制及び実際業務の需要に応じて,実質をベースとしたコンプライアンス合致の原則(实质合规原则)に基づき,証憑に外貨受取・支払金額,日付を記載し業務印を捺印するか否かについて,自ら決めることができる。銀行は規定に基づき,審査済みの紙ベースもしくは電子書類を5年間保管し検査に備える。国内機関と個人は,関連取引証明書類を5年間保管し検査に備える。(「手引(2020年版)」第12条) B類,C類企業は分類監督管理有効期間内に,オフショア転売取引に係る外貨受取・支払業務を取り扱ってはならない。(「手引(2020年版)」第34条,第35条) 企業がオフショア転売取引に係る外貨受取・支払業務を取り扱う際,銀行は業務展開原則及び以下の要求に基づき,関連取引証明書類を審査しなければならない。 ① 真実で合法的な取引の背景を有し,架空もしくは虚偽のオフショア転売取引を背景とした利ざや稼ぎあるいは資金移転などの疑いのある異常な取引ではない。 えている。 貨物貿易に係り,送金ルートの問題により外貨現金を元転する必要がある場合,銀行は本手引第11条などの規定に基づき審査しなければならない。外貨現金の元転金額が入国時税関申告が必要な金額に達した場合,銀行は併せて企業から提出された税関印捺印済みの「中華人民共和国税関入境旅客荷物物品申告書」(中华人民共和国海关进境旅客行李物品申报单)(以下「税関入境申告書」という)の原本を審査しなければならない。(「手引(2020年版)」第26条) 企業は銀行を通じて貨物貿易に係る外貨受取・支払を取り扱う場合,貿易方式,決済方式及び資金の出所または流れを踏まえ,貨物貿易に係る受取・支払情報の申告に関する規定に従い,関連申告書類に記入し,遅延なく,正確176

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