中国の外貨管理2023
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第4章 貨物貿易外貨管理制度と輸出決済 第1節 貨物貿易に対する外貨管理制度の概要 2012年8月1日より施行された貨物貿易外貨管理制度では輸出入業務のある企業を外貨管理局がA類,B類,C類に分類し,A類企業に対しては貿易外貨の受取・支払利便化措置を適用するとし,B類,C類企業を重点モニタリングの対象とした。 国家外貨管理局は2019年1月より一部の地域において貨物貿易に係る外貨収支の利便化措置を試行し,条件に合致する試行銀行が信用度の高い試行企業のために貿易関連収支を取り扱う場合,より便利な措置を実施するとした。例えば,輸入通関申告に係る検査の簡素化,特殊外貨払戻業務に係る登記手続の撤廃など。同年10月から試行地域範囲の拡大とともに,貨物貿易の外貨業務に係る報告方式の最適化,輸出受取代金の審査待ち口座の開設要件の緩和,企業の出先機関のリスト登記の利便化措置なども行った。このうち,特殊外貨払戻業務に係る登記手続の撤廃は20年4月14日より全国で実施した。 また,国家外貨管理局は2020年5月20日に,越境EC事業者の輸出業務に係る資金決済の便利化や対外貿易総合サービス企業による輸出代金の受取代行への支援などに係る一連の政策を打ち出した。同年8月31日付で『「経常項目外貨業務手引(2020年版)」の印刷・公布に関する通達』(匯発[2020]14号)を公布し,経常項目に係る外貨業務の現行法規を統合するとともに,一部業務フローと取扱に必要な書類を簡素化した。 現行の貨物貿易外貨管理制度では,税関が取得する「輸出入貨物の通関データ」と外貨管理局が銀行経由で取得する「貿易代金の受払についての国際収支申告データ」に対してITシステムを利用して自動的に照合が行われる。 以下では,2020年8月31日付で公布された『「経常項目外貨業務手引(2020年版)」の印刷・公布に関する通達』(国家外汇管理局关于印发<经常项目外汇业务指引(2020年版)>的通知)(匯発[2020]14号,以下「手引(2020年版)」という)及び「貨物貿168*** Point ***!

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