中国の外貨管理2023
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中国の「外国為替管理条例」では,国際収支上の経常収支に該当する項目を経常項目といい,資本収支に該当する項目を資本項目という。「外国為替管理条例」では経常収支・資本収支について,別々の管理制度を実施している。経常項目の国際取引における支払及び移転に対しては制限を加えないと定めているが,資本項目に係る外貨の受取・支払に対しては原則,当局の許認可が必要である。 中国政府による「人民元資本項目における自由交換の秩序ある推進」「人民元国際化の着実な推進」「資本市場の双方向での開放の推進」の方針の下,人民元資本項目の自由交換は着実に進んでいる。 本章では,「外国為替管理条例」における経常取引,資本取引の関連内容について解説する。 「外国為替管理条例」(外汇管理条例,以下「条例」という)は,国際収支上の経常収支に該当する項目を経常項目(Current account transactions)といい,経常項目には,貿易(貨物貿易),サービス(サービス貿易),所得,経常移転などの項目が含まれる。 資本収支に該当する項目を資本項目(Capital account transactions)という。資本項目とは国際収支において対外資産と負債に増減をもたらす取引項目で,資本の移動(capital transfers),直接投資(direct investments),証券投資(portfolio investments),金融派生商品(derivatives)及び貸出などが含まれる。 経常収支については,「条例」第5条で「国家は経常項目の国際取引における支払及び移転に対して制限を加えない」と定めている。また,「条例」第2章「経常項目の外国為替管理」,第3章「資本項目の外国為替管理」では経常取引と資本取引の取扱に対し,それぞれ規定しており,その主な違いは次の通りである。 166*** Point ***! 第3章 経常取引と資本取引との区分

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