中国の外貨管理2023
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第3節 外貨管理に関する法規 機関でもある。国務院が2019年1月19日付で施行した「中国人民銀行の職能配置,内部機構及び人員配置の規定」(中国人民银行职能配置,内设机构和人员编制规定)では,人民銀行の主な役割として「人民元為替政策の策定・実施,人民元のクロスボーダー使用及び国際間での使用の促進,国際収支の均衡維持,外国為替管理の実施。国内外金融市場の追跡・モニタリング及びリスク早期警戒に責任を負う。クロスボーダーの資金移動のモニタリング・管理,国の外貨・金準備の保有,管理,運用」が掲げられている。また,内部組織の「貨幣政策司」「マクロプルーデンス管理局」「金融市場司」がそれぞれの役割を果たすことを明確にした。具体的には,貨幣政策司の役割は,金利及び為替レートの市場化改革の推進,主導役としてのマクロプルーデンスの評価,外国為替市場の調整・コントロール方案の策定・実施である。マクロプルーデンス管理局の役割は,主導役としての外国為替市場のマクロプルーデンス管理,人民元為替レート政策の研究・評価である。金融市場司は,インターバンク債券市場,マネーマーケット,外国為替市場,手形市場,金取引市場及び関連店頭デリバティブに対する監督管理である。 外貨管理に関する法規は主に人民銀行と外貨管理局から出されている。外貨管理局は2022年7月29日付で22年6月末時点での「現行の有効な外貨管理主要法規目録」(现行有效外汇管理主要法规目录)を公布した。この目録に記載されている主な法規は196件あり,今回目録に新規追加された主な法規は国外機関投資家によるインターバンク債券市場への投資の更なる利便化,ハイテクと「専精特新」企業のクロスボーダー資金調達の利便化試験区域の支持,外為市場による実体経済への支援の促進,行政処罰規制などである。 外貨管理局はウェブサイト(http://www.safe.gov.cn/)で,新たな法規,政策などを紹介している。外貨管理上の問題が生ずるたびに新たな規定が通知されるので,実務に際し,日頃から,関連法規の動向をフォローしておく必要がある。 外貨管理法規の分類(2022年6月末,主要法規数196件) 140

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