中国の外貨管理2023
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第2節 モバイル決済 内容 項目 市場支配的地位の早期警戒措置 市場支配的地位の認定 (出所)「非銀行支払機構条例(意見聴取稿)」 「意見聴取稿」における市場支配的地位の認定及び措置は以下の通りである。 市場調査会社のアイリサーチ(艾瑞諮詢)の調査レポートによると,2020年第2四半期の第三者モバイル決済市場で,アリペイとウィーチャットペイのシェアはそれぞれ55.6%,38.8%となり,「市場支配的地位」に該当する公算が大きいとみられた。しかし,「意見聴取稿」では,非銀行決済サービス市場(非银行支付服务市场)と全国電子決済市場(全国电子支付市场)の2つの用語があり,その定義及び計算基準は明確にされていないため,人民銀行がこれらをどう定義するかがこの2社の将来を左右することになりそうである。 「2021年支払体系運行総体情況」によると,21年のモバイル端末を使った決済件数は1,512.28億件(前年比22.73%増),決済額は526.98兆元(同21.94%増)であり,モバイル決済の普及率が86%に上った2。 利用頻度については,決済サービスの業界団体である中国支払清算協会(中国支付清算协会)の調査レポートによると,2020年,モバイル決済利用者のうち毎日モバイル決済を使用している割合は全体の74%となり,前年比4.4ポイント拡大した3。21年,3年以上連続でモバイル決済を利用している割合は全体の87.3%となり,モバイル決済への粘着性が覗かれる4。また,中国銀聯が21年2月1日に発表した「2020年モバイル決済に係る安全に関する調査」によると,モバイル決済が「最も頻繁に使う決済方法」と回答した人は全体の98%であり,前年比5ポイント上昇した。 1社で非銀行決済サービス市場(非银行支付服务市场)の3分の1を占める場合や,2社でシェアが計2分の1を占める場合,3社でシェアが計5分の3を占める場合,人民銀行が国務院独占禁止法執行機関に対し,当該事業者に事情聴取を行うよう求めることができる。 1社で全国電子決済市場(全国电子支付市场)の2分の1を占める場合や,2社でシェアが計3分の2を占める場合,3社でシェアが計4分の3を占める場合,人民銀行は国務院独禁法執行機関に対し,当該事業者に対する独占禁止の審査を求めることができる。ただし,2社で計3分の2,3社で計4分の3を占める場合,市場シェアが10分の1未満である事業者は審査の対象外とされる。 130 2「易纲:中国大型科技公司监管实践—在国际清算银行(BIS)监管大型科技公司国际会议上的讲话」人民銀行 2021年10月9日 3「中国支付清算协会:2020年有74%的用户每天使用移动支付」新浪財経 2021年1月14日 4「非银支付成数字化急先锋」『中国銀行保険報』2022年9月28日

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