中国の外貨管理2023
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外へ送信する必要がある場合,法律法規や関連規定に従わなければならず,海外主体は情報守秘義務を履行し,個人情報主体の同意を得ることが必要である。 (出所)「非金融機関支払サービス管理規則」 項目 第三者決済機関による決済 銀行による決済 (出所)「2021年支払体系運行総体情況」 第三者決済機関に対して,銀行に支払準備金専用の口座を開設し,支払準備金の全額を当該口座に預け入れるよう要求した。 顧客の支払準備金口座を人民銀行或いは人民銀行の要求を満たす商業銀行に開設するよう定め,利ざやによる収益モデル構築を防ぐために,人民銀行及び商業銀行はその支払準備金口座に預け入れる支払準備金に利息を支払わないとした。 件数(前年比) 10,283.22億件(24.30%増) 2,749.69億件(16.90%増) 概要 金額(前年比) 関連通達 2.第三者決済機関に対する規制強化 (1)支払準備金の集中管理制度の導入 ステップ1:支払準備金専用の口座に支払準備金の全額を預け入れ このほか,外商投資決済機関は「人民銀行令[2010]第2号」で規定された資本金,主要出資者,アンチマネロンダリング措置などの要求を満たさなければならない。 一方,後述の通り中国では,現在,銀行以外の機関による決済サービスは,アリペイ(中国語:支付宝,英語:Alipay)とウィーチャットペイ(中国語:微信支付,英語:WeChat Pay)が市場シェアの大半を占めている。このため外資に市場が開かれたとしても,両者の牙城を崩すのは難しいとの見方もある。 電子決済サービスの普及を背景に第三者決済機関による取扱は急拡大している。電子決済について,2021年における第三者決済機関による決済と銀行による決済実績の比較は下表の通り。 一方で,第三者決済機関が顧客から受け入れた預かり金の所有権は顧客に帰属するが,顧客の銀行預金と異なり「預金保険条例」の保護対象外である。また非金融機関のサービスであるため,これまで金融業務を監督する法律の適用外となっていたことから資金の流れが不透明という問題点があった。これを受け当局は,第三者決済機関による顧客からの預かり金の流用やマネーロンダリングなどを防止するために,支払準備金(备付金)集中管理制度の導入に加え,「網聯」というプラットホームを構築し,第三者決済機関に対する規制を強化している。決済記録などはすべて網聯のデータベースに保存され,資金の流れも透明化されるなどの効果が期待できるという。第三者決済機関に対する近年の規制強化の動きは以下の通り。 355.46兆元(20.67%増) 2,976.22兆元(9.75%増) 「支払機構の顧客から受入れる支払準備金の預かり管理規則」(支付机构客户备付金存管办法)(人民銀行公告[2013]第6号,廃止) 「『インターネット金融リスクの取締改善専門業務実施方案』の印刷・配布に関する通達」(国务院办公厅关于印发互联网金融风险专项整治工作实施方案的通知)(国弁発[2016]21号) 127

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