中国の外貨管理2023
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第7節 電子商業手形の導入 1.電子商業手形 2.普及促進及び監督管理の強化 以降,自由化され各商業銀行がそれぞれ自主的に決定できることとなった。 中国では1996年1月に「手形法」(票据法)が施行され,手形決済の明文化が図られたものの,紙ベースの手形においては要件不備の頻発,手形の変造・偽造などの問題が発生していた。これを受け,人民銀行は09年10月28日に電子商業手形システム(电子商业汇票系统,略称「ECDS」)を稼働させた。また関連法規として,09年10月16日付で「電子商業手形業務管理規則」(电子商业汇票业务管理办法)(人民銀行令[2009]第2号,以下「管理規則」)を公布した。 電子商業手形は,商業手形を電子記録債権としてインターネット上で管理する方式であり,従来の紙ベースの商業手形とは異なる。しかし「手形法」(票据法)の規定は基本的にそのまま適用される。 電子商業手形が紙ベースの商業手形の扱いと大きく異なる点は次の2点である。 ①手形期間が従来の6ヶ月から最長1年にまで延長されたこと(「管理規則」第13条)。 ②手形上の署名が電子署名となったこと(「管理規則」第14条)。 なお,電子商業手形の取引情報については,2016年12月5日付で公布された「手形取引管理規則」(票据交易管理办法)(人民銀行公告[2016]第29号)では,電子商業手形の振出,引受,質入,保証,割引などの情報をECDS経由で,同時に手形取引所へ転送すると定められた(第30条)。また,人民銀行が17年7月6日付で公布した「電子商業手形取引の管理強化に関する事項についての通達」(关于加强电子商业汇票交易管理有关事项的通知)(銀発[2017]165号)では,電子商業手形の取引については17年8月28日より前述の「手形取引管理規則」の関連規定を適用し(第1条),電子商業手形の割引業務については18年10月1日より順次上海手形取引所(上海票据交易所)の取引システムに移行するとした(第2条)。 人民銀行は2016年8月27日付で「電子商業手形業務発展の規範化及び促進に関する通達」(关于规范和促进电子商业汇票业务发展的通知)(銀発[2016]224号)を公布し,一定金額以上の商業手形について,段階的にすべて電子商業手形により取扱わなければならないとした。1件当たりの振出金額について,17年1月1日以降は300万元以上,18年1月1日以降は原則100万元以上がそれぞれ電子化の対象とされている。 近年,中国では銀行による手形をめぐる不正取引が相次いで発生した。こうした事件を受け,当局は手形市場のさらなる規範化を促すとし,2018年5月2日付で「銀行業金融機関による省を跨ぐ手形業務の規範化に関する通達」(关于规范银行业金融机120

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