中国の外貨管理2023
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第2節 振込 (2)クロスボーダー人民元決済システム(人民币跨境支付系统) (3)網聯 財政資金の支払と決済代理業務を扱い,また多くの企業の代理受払などをおこなっている。 国際間の資金決済については従来より,SWIFTが利用されているが,2015年10月にクロスボーダー人民元決済システム(CIPS)が導入された。CIPSの主な機能はクロスボーダー人民元決済(貨物貿易,サービス貿易,直接投資,融資及び個人送金等)に係る顧客送金及びインターバンク決済である。18年5月からはCIPS(フェーズⅡ)が全面稼働した。時差を考慮し,週末・法定休日明けの最初の平日のみ稼働時間を4時間繰り上げたため,稼働時間が従来の「週5日×12時間」から「週5日×24時間+4時間」に改められた。 なお,2021年1月16日にSWIFTは人民銀行関連機関(人民銀行清算総センター,CIPSの開発・運営事業者である跨境銀行間支付清算有限責任公司,人民銀行数字貨幣研究所,中国支払清算協会)と共同で,「金融網関信息服務有限公司」(金融网关信息服务有限公司)を立ち上げた。SWIFTの出資比率は55%である。業務範囲には,情報システムインテグレーション,データ処理,技術コンサルティングが含まれる。また,同社は19年6月に,北京で全額出資子会社「環球融訊網絡技術服務(中国)有限公司」を設立した1。 電子決済サービスの普及に伴い第三者決済機関による取扱高は急増している背景に,当局は第三者決済機関向けの決済・清算プラットホーム「網聯」を構築し,銀行口座に係る第三者決済機関のインターネット決済業務をすべて網聯経由で取り扱うこととなった。 振込(汇兑)は日本と同様,送金人が銀行に委託し,受取人宛に送金をするもので郵便扱いと電信扱いがある。手続も簡単であり最低金額の制限もない。遠隔地との決済に使用される主要決済手段である。2021年の振込による決済件数は99.57億件,金額は3,245.95兆元であった。 2004年10月,人民銀行は「手形小切手,決済証憑の種類と様式の調整についての通達」(关于调整票据、结算凭证种类和格式的通知)(銀発[2004]235号)を公布し,05年7月1日以降は,全て新たな様式の帳票を使用することを要求した。本書では様式が指 1「SWIFT协会联手央行清算总中心、数字货币研究所等成立新公司」新浪財経 2021年2月4日 107

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