中国の外貨管理2023
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項目 分割・分離譲渡の禁止 シンジケート・ ローンの場合の メンバーへの 優先譲渡 瑕疵のない クリーンな譲渡 借主との 協定調印 保証人の 同意取得 抵当権・質権の 扱い インターバンクでの譲渡協定の締結,貸出事後管理の責任 リスクの移転 と貸借対照表 上の記帳 会計処理の準則 資産運用業務 との関係 (出所)「銀行業金融機関の貸出債権譲渡業務のさらなるルール化についての通達」 内容(抜粋) 譲渡する貸出債権にはすべての未償還の元本及び受取利息(全部未偿还本金及应收利息)を含めなければならず,次に掲げる状況があってはならない。 ①未償還の元本と受取利息とを分離すること。 ②未償還の元本あるいは受取利息を一定比率で分割すること。 ③未償還の元本及び受取利息全体を一定比率で分割すること。 ④未償還の元本あるいは受取利息を期間によって分割すること。(第5条) シンジケート・ローン(银团贷款)を譲渡するときは,譲渡側が,ローン全体を,その他のシンジケートの参加行に優先し譲渡しなければならない。その他の参加行全員が譲渡を受ける意向がなく,かつ参加行以外の銀行業金融機関(以下「銀行」)宛てに譲渡することに異議がないときは,譲渡側は参加行以外の銀行宛てに全体を譲渡することができる。(第5条) 貸出債権の譲渡は,クリーンな譲渡の原則(洁净转让原则)を遵守する。すなわち債権の真実で完全な譲渡を実現し,リスクの真実で完全な移転(真实,完全转移)を実現する。(第6条) 貸出債権の譲受側は貸出債権の借主側と改めて協定を締結し,変更後の債権債務関係を確認しなければならない。(第6条) 貸出債権に保証人(保证人)があるときは,譲渡側は譲渡の前に,保証人の意見を取得する。保証人が同意後に譲渡ができる。保証人が同意しないときは,譲渡側は借主と協議し,保証人の変更あるいは新たな抵当・質物の差入れを行い,それによって貸出債権の安全な譲渡を実現する。(第6条) 譲渡予定の貸出債権に抵当・質物(抵质押物)があるときは,抵当・質物の変更登記手続(抵质押物变更登记手续)あるいは質物の占有の移転・引渡(质物移交占有,交付)を完成させ,担保物権の有効な移転(担保物权有效转移)を確保しなければならない。(第6条) インターバンクで資産譲渡協定を締結する際には,当事者双方の権利と義務を明確にする。譲渡側は譲受側に対し資産譲渡業務に係る法律文書及びその他の関係書類を提供しなければならない。譲受側は,貸出債権の日常的な貸出の事後管理(日常贷后管理职责)の職責を負う。(第6条) 譲渡側は,信用リスク,市場リスク,流動性リスク等を譲受側に完全に移転した後は,貸借対照表から当該資産を除去し,譲受側は,貸借対照表上で当該資産を確認する。譲渡側と譲受側は完全な引継を行い,関連するリスクの引受(相关风险承担)が如何なる時点においても見落としがあってはならない(不得落空)。 貸出債権の譲渡後は,譲渡側及び譲受側の自己資本比率(资本充足率),引当カバー率(拨备覆盖率),大口取引集中度(大额集中度),リスク資産(风险资产)等の監督管理指標の算定について調整を行われなければならない。(第7条) 銀行は,「企業会計準則」(企业会计准则)の「金融資産の移転」についての規定(“金融资产转移”的规定)及びその他の関連規定に厳格にしたがい,貸出債権の移転を確認し,併せて対応する会計計算及び財務上の処理をしなければならない。(第8条) 銀行は,顧客の資産運用資金(理财资金)を用いて貸出債権を直接買取ってはならない。(第9条) 103

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