中国の外貨管理2023
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 合併・買収企業が法令遵守で経営し,信用状況が良好で,与信に対する違約 M&A取引が合法的でコンプライアンスに合致し,国家の産業政策・業界参入・独占禁止・国有資産譲渡等に関する認可を取得し,関連手続を履行していること  合併・買収企業がM&A対象企業と比較的高い産業関連度・戦略関連性を有し,M&Aを通じて対象企業の研究開発能力,中核技術・工程,商標,特許権,供給・販売ネットワーク等の戦略的資源を獲得し,その競争力を高められること  借入企業またはM&A後の企業の重要な財務指標に対する拘束性条項  借入企業が特定の状況で獲得した超過資金を前倒し返済に用いる強制性条項  借入人またはM&A後の企業の主要口座または専用口座に対するモニタリング 銀行の重大事項に対する知る権利または許可権を確保する借入人の承諾条項  貸出資金の引出条件や支払使用に関する条項(引出条件として,少なくとも 借入人が定期的に財務諸表等を銀行に報告する義務を負うこと 第4節 貸出債権の流動化 1.銀行による貸出債権譲渡 項目 企業による M&A貸出申請 の基本条件 貸出契約に 盛り込む べき貸出人 の権利保護 条項 (出所)「商業銀行のM&A関連貸出リスク管理ガイドライン」 項目 譲渡対象貸出 債権の範囲 借主の同意取得 譲受側による デューデリジェンス調査 買戻し条項の 設定の禁止 (出所)「銀行業金融機関の貸出債権譲渡業務のさらなるルール化についての通達」 や銀行債務の回避等の不良記録がないこと 条項 自己資金の全額払込等を約定しなければならない) 確定した譲渡可能な正常分類の貸出債権(确定的,可转让的正常类信贷资产)。不良債権の譲渡及び処置には通達の規定は適用しない。(第2条) 譲渡側は,借主の同意を取得した後に貸出債権の譲渡を行う。ただし当初締結の金銭消費貸借契約において別途約定がある場合は除く。(第2条) 譲受側は,譲渡予定の貸出債権に対するデューデリジェンス調査(尽职调查)を行う。それには借主側の信用状況,経営情況,貸出債権の使途のコンプライアンス及び合法性,担保の情況等を含む。(第3条) 譲渡側は顕在あるいは潜在的な買戻条項(显性或隐性的回购条款)を設定してはならない。当事者双方は「買戻協議(回购协议),現物の買切りに先物での買戻(即期买断加远期回购)」等の方式で監督回避してはならない。 (第4条) 内容(抜粋) 内容(抜粋) 102銀監会は2010年12月3日付で銀行の正常分類の貸出債権の譲渡取引(信贷资产转让)についてのルール「銀行業金融機関の貸出債権譲渡業務のさらなるルール化についての通達」(中国银行业监督管理委员会关于进一步规范银行业金融机构信贷资产转让业务的通知)(銀監発[2010]102号)を公布した。この通達では「暗黙の買戻し条件付きの売却」を禁止したほか,借主の同意と借主との債権債務の確認などを求めている。またシンジケート・ローンの場合は,当該シンジケート・ローンの参加行全員の同意がない限り,参加行以外には売却できないとの規定がある。通達の概要は以下の通り。

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