中国の外貨管理2023
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 健全なリスク管理・内部統制制度を有していること  資本充足率が10%を下回っていないこと  各種監督管理指標を満たしていること  M&A貸出のデューデリジェンスとリスク評価を行う専門チームを有している 自行のすべてのM&A貸出残高がコア資本(一級資本)の50%を超えないこと  借入人1社に対するM&A貸出残高がコア資本の5%を超えないこと  貸出金額がM&A取引額の60%を超えないこと  貸出期限が通常7年を超えないこと 2.M&A関連貸出 項目 M&A貸出の最長期限を「通常5年」から「通常7年」に延長した(第22条) 貸出金額がM&A取引額に占める割合について,その上限を50%から60%に引き上げた(第21条) M&A貸出に対する保証の取得について,これまでの強制的な表現から原則的な表現に改めた(第29条)ほか,「原則として,商業銀行がM&A貸出に対して要求する保証条件は,その他の貸出種類より高くなければならない」とする文言を削除した 銀行は,M&A貸出を実行する際にM&A取引の戦略リスク,法律・コンプライアンスリスク,統合リスク,経営・財務リスク,カントリーリスク,為替リスク等を分析・評価し(第10条)し,その結果に基づき金額,期限,金利,返済計画,担保等の貸出条件を慎重に確定しなければならない(第30条) M&A取引の当事者双方が関連企業である場合は,M&A取引の真実性と取引価格の合理性に対する審査を強化する必要がある(第28条)。貸出実行後も,借入企業のキャッシュフローを監視し,貸出金の流用を防止し(第33条),返済計画と実際の返済資金源が一致しているか等を確認しなければならない(第35条) 規制緩和 リスク管理 (出所)「商業銀行のM&A関連貸出リスク管理ガイドライン」 項目 M&A貸出を 取り扱える 銀行の条件 M&A貸出 業務の主な プルーデン ス条件 (出所)「商業銀行のM&A関連貸出リスク管理ガイドライン」 内容 内容(抜粋) 銀監会は2015年2月10日付で改定した「商業銀行のM&A関連貸出リスク管理ガイドライン」(商业银行并购贷款风险管理指引)(銀監発[2015]5号)を公布した。このガイドラインではM&Aを,国内の買収側の企業が,出資持分,増資引受権の譲渡を受けること,或いは資産買収,債務引受等の方式で既存企業或いは資産の合併または経営支配権を取得することと定義(第3条)。M&A関連貸出とは商業銀行が買収側企業或いはその子会社に対し実行する買収取引代金及び費用に使用される貸出とした(第4条)。加えて,ガイドラインでは,M&A貸出基準を一部緩和した一方,引き続き銀行に厳格なリスク管理を求めた。 このほか,ガイドラインはM&A貸出を取り扱える銀行の条件(第5条)や企業によるM&A貸出申請の基本条件(第26条),貸出契約に盛り込むべき貸出人の権利保護条項(第31条)等が盛り込まれている。M&A貸出の主なリスク管理規定は次の通りである。 こと 101

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