中国の外貨管理2023
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No. 国が明示的に禁止している製品・プロジェクトにおける生産,販売あるいは投資などのために使用 ① ② 国の規定に反し他の企業の出資金に充当,自社の資本金,増資などに充当 ③ 国の規定に反し株式,先物,金融派生商品への投資に使用 ④ 財政予算上の収支に充当 ⑤ 国が明確に禁止するその他の使途に使用 (出所)「貸出通則(意見聴取稿)」 (3)貸出に係る手数料の請求 5.期限の利益の喪失 6.代物弁済の許容 禁止された使途 で認める範囲であれば借入金を原資とした出資や投資もできるようになっている12。 中国の銀行による一般貸出については,現行通則の第24条では,人民銀行が定めたレベルの法定貸出利息以外にはいかなる費用も徴収してはならないとなっている。 これに対し,意見聴取稿の第30条は「貸出人は国の関係規定にしたがい合理的な費用を徴収できる。貸出の授信枠(極度)(授信额度)が確定後,授信枠の未使用部分に対しては,契約に基づき一定の比率の引受費用(コミットメント・フィー)及びその他関連費用を徴収できる。具体的な徴収方法及びフィーレベルは契約の取り決めにしたがう」として,貸出利息のほかに合理的な範囲の手数料を徴収できるとなっている。 意見聴取稿の第29条では,貸出の弁済に関して,借主が1人の貸出人あるいは多数の貸出人から1件あるいは複数件の貸出を約定どおりに弁済できないときは,すべての貸出人は約定にしたがってその貸出の期日前返済を求めることができるとしている。また,第46条では,分割弁済が約定されている貸出については,一部でも延滞が発生すれば,期日未到来の弁済についても債務者は期限の利益を喪失するとしている。 意見聴取稿の第49条は,借主,保証人,担保物・質物の処分権者が,非貨幣資産による償還をすることを認めている(贷款人可以接受借款人,保证人,抵押人或出质人以非货币资产作价偿还贷款)。これは日本では一般に禁止されている代物弁済条項であるが,中国では銀行の権利を保護する手段として代物弁済が認められたものと推測される。 95 12 現行通則第20条では,「不動産取引の資格を有する借入人を除き,借入金を使って不動産業務をおこなってはならない。資格を有する借入人は,借入金を使って不動産投機活動をおこなってはならない」とされている。

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