中国の外貨管理2023
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3.貸出適用金利 4.借入の申請,貸出の審査・許可・実行及び使用 (1)借入の申込から回収まで 借入の申請条件 延長できる6(第12条)。 意見聴取稿では,貸出適用金利及び利息の計算・決算について,人民銀行の金利管理規定及びその他の関係規定にしたがうとしている7(第14条)。個人間あるいは個人と企業(法人)間の金銭消費貸借,所謂民間資金貸借における適用金利に関しては,最高人民法院の通達によって契約成立時の1年物LPR(貸出プライムレート)の4倍以下(4倍を含む)の場合は法的保護を受けるが,4倍を超える場合は無効である8。 一般には,1件の貸出のプロセスを借入の申請,貸出の審査・承認,契約の締結,貸出の実行,貸出管理と回収の5段階と定めている。 ①借入の申請 分類 申請条件 ①国家市場監督管理機関の認定を受け登記された法人,個人事業主であること ②製品には市場があり,生産・経営は利益をあげており,借入金の流用がなく,信用を守るなどの基本的な条件を備えていなければならず,そのほか次の条件も満たさなければならない ①国家市場監督管理機関に登記済みで,年度検査を連続受検している9 ②合法で安定した収入あるいは収入源があり,元利金の約定弁済ができる ③銀行に基本口座,決済口座あるいは一般預金口座を開設している 企業・ 個人事業主 法人 (出所)「貸出通則(意見聴取稿)」 6 現行通則では次の規制がある。「短期貸出の場合,期限を延長するときは延長期間の累計はもとの貸出期間を超えてはならない。中期貸出の場合,期限を延長するときは延長期間の累計は,もとの貸出期間の半分を超えてはならない。長期貸出で期限を延長するときは延長期間の累計は3年を超えてはならない。」「借入人が期限延長を申請しない,あるいは延長申請が承認されてないときは,その貸出は満期日の翌日より起算し延滞貸出として分類しなければならない。」 7 現行通則には次の制限がある。「貸借契約に記載された利息以外に商業銀行は,その他のいかなる費用も徴収してはならない。委託貸出では人民銀行が規定する受取手数料を除き,金融機関はその他のいかなる費用も徴収してはならない。」意見聴取稿では,この文言は削除された。 8「最高人民法院关于审理民间借贷案件适用法律若干问题的规定」(法釈[2020]17号) 9 2014年3月から,企業の自社申告による年度報告開示制度は年度検査制度を代替した。 10 上記の条件の外に,現行通則では「国務院が定めるものを除き,有限責任会社及び株式会社は投資のための出資額累計が,その純資産額の50%を超えていないこと」「借入人の資産負債比率が貸出人の条件を満たしていること」「中期,長期借入を申請するものは,新たに建設するプロジェクトに対する企業法人の出資者持分とプロジェクトの総投資額との比率が国の規定する投資プロジェクトの資本金比率を下回らないこと」とされている。また意見聴取稿では貸出カードが必要とされた。2014年12月4日付の「貸出カード発給の審査・承認撤廃の関連事項に関する通達」(中国人民银行办公厅关于取消贷款卡发放核准行政审批项目有关事项的通知)(銀弁発[2014]257号)の公布により,貸出カードの発給及び貸出カードに対する年度検査は廃止された。 など10 92

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