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令和4年版「年末調整」のポイント解説

掲載日:2022年12月1日財務資本戦略

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年末が迫る頃、やらねばならない大切な申請の一つが年末調整です。
税制改正の影響を受けやすい年末調整では、ここ数年、いくつかの変更が発生しています。

毎年のことだからと、確認を怠り、前年と同様の手続きを実施してしまうと、不備が発生して逆に負担が増えることも。
混乱しやすい変更点については入念な確認が必要です。
本稿では、年末調整の基礎的な事項を解説したうえで、近年の主な変更点をおさらいし、今年特に注意すべき点、さらに来年以降の留意事項を解説します。

そもそも年末調整とは?

年末調整とは、「給料等から天引き(源泉徴収)されていた所得税の合計額」と、「本来の所得税額」を比べ、その差額を調整(精算)する手続きのことです。

従業員に対する給与や賞与では、社会保険料や所得税、住民税を源泉徴収した金額が支払われています。
この段階の所得税は、「扶養している家族の人数」と「課税される給与額の額」の2つだけで決められており、細かい事情まで配慮していない概算の金額です。

一方、年間の所得にかかる所得税は「1年の途中で扶養する家族の人数に変更があった」「住宅ローンを支払っている」といった事情を考慮したうえで計算する、本来収めるべき納税額。
給与所得を受ける人は、「概算の納税額」と「本来の納税額」を比べて「年末調整」をし、源泉徴収された「概算の金額」が多かったならば、その分を還付されます。
少なければ追加で納税しなくてはなりません。

年末調整は、給与所得を支払うすべての事業者に義務付けられています。
対象となるのは給与所得者の内「扶養控除等(異動)申告書」を提出した「自社が主たる勤務先となっている役員や正社員、バイト・パート」です。
近年増えてきている正社員の副業は対象にはなりません。

また、「扶養控除等(異動)申告書」を提出していても、以下の人は対象外です。
給与年収2,000万円超の人
年の途中で退社し、年末に在籍していない人
災害減免法により、源泉所得税納税の猶予、あるいは還付を受けている人
会社での勤務をかけもちしていて他社で年末調整を受ける人
日雇労働者
業務委託契約の人

令和3年、令和2年での主な改正点のおさらい

まずは、近年における改正点の主なポイントを確認していきましょう。

1.基礎控除額の引きあげ

平成30年度税制改正に伴い、これまで一律38万円だった基礎控除額が、令和2年より一律48万円に引きあげられました(住民税については33万円から43万円への引きあげ)。
これは、働き方が多様化する現代において、さまざまな形で働く人を、広く応援しようという観点から改正されたものです。
ただし、合計所得金額(所得控除前の所得金額)が2,400万円~2,500万円の場合は控除額が次第に減り、2,500万円超の場合は控除額がゼロとなります。

2.給与所得控除額の引き下げ

同じく平成30年度税制改正にて、令和2年より給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。
基礎控除額の引きあげを相殺する形です。

給与所得控除額においては、平成25年以降段階的に上限額が引き下げられており、給与年収が850万円超の人は、「所得金額調整控除」の適用を受ける人を除き、実質的に増税となりました。
「所得金額調整控除」とは、子育て・介護世帯等に配慮し、一定の要件に該当する場合に給与所得控除額の増額調整が行われることです。
なお、給与年収850円以下であれば、税額への影響はありません。

3.「ひとり親控除」の新設と寡婦(寡夫)控除の見直し

令和2年度税制改正で、これまでの「寡婦(寡夫)控除」(いわゆる「ひとり親」に対する税制上の措置)を抜本的に見直し、あらたに「ひとり親控除」が創設されました。
これまでは「死別、離婚、生死不明の状態」が対象の要件でしたが、未婚の場合も対象になったのです。

改正前は、ひとり親の婚姻歴や性別によって、所得要件や控除額が異なる等の問題点がありましたが、その是正をめざした形になります。

控除額は所得税で35万円、住民税で30万円です。
これにより寡夫控除は廃止(「ひとり親控除」に吸収)、寡婦控除については、要件により適用されることになりました。
寡婦控除額(所得27万円、住民税26万円)に変更はありません。

4.給与所得者の配偶者控除等申告書の変更

令和元年までは、「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書式でしたが、令和2年からは「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という、3つの控除申告書の役割を持つ書式へと変更されました。
これは配偶者のいない給与所得者であっても、提出の必要がある書類です。
そのため、本年令和4年の年末調整時においては、従業員から以下3種類の書類の提出を受けることになります。

  1. 令和5年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 令和4年分給与所得者の保険料控除申告書
  3. 令和4年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

5.押印が不要に

令和3年度税制改正に伴って、従業員から提出される以下の書類について、押印が不要となりました。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除証明書(いわゆる「住宅ローン控除証明書」)

令和4年は「控除証明書」電子データ提出の適用範囲が拡大

令和4年の税制改正における大きな変更点はありませんが、ポイントは必要な書類の多くが電子データで提出が可能となったことです。

令和2年以降、「生命保険料控除証明書」や「地震保険料控除証明書」「住宅ローン控除証明書」等を電子データで提出することが可能になりました。
これらに加えて、今回令和4年の年末調整からは、「社会保険料控除証明書」「小規模企業共済等掛金控除証明書」(iDeCo等)も、電子データでの提出が可能となります。

ただし、会社として電子的控除証明書等の受付に対応できない場合は、これまで通り紙の控除証明書を受付けることになります(あるいは、従業員が必要に応じて国税局提供のシステムを利用して、電子的控除証明書等を書面で出力して提出することもできます)。

令和5年以降に留意すべきこと

令和4年の年末調整で必要な対応は上記になりますが、令和5年以降、住宅ローン控除等に関して変更があることに留意しておきましょう。

住宅ローンにおいては、ここ数年、控除期間の延長や最大控除額の変更等が主な注目点でしたが、令和4年度では、更なる控除期間の延長や控除適用基準の見直しが行われたほか、控除率が1%から0.7%に引き下げられました。
そのほかに、「住宅ローン控除適用対象の所得要件変更」「新築住宅床面積40㎡以上の住宅の要件変更」「借入金残高証明書の添付が不要に」といった変更点もあるので、今の内から内容を確認しておくことをおすすめします。

もう1点、令和2年度の税制改正により、令和5年以降適用されるものに「非居住者扶養親族の適用範囲変更」があります。
扶養控除の対象となる扶養親族の範囲が、「16歳以上の非居住者」から「30歳以上70歳未満」の非居住者を除外したものになります。
ただし、「30歳以上70歳未満」でも、以下の場合はこれまで通り対象となります。

  1. 留学により国内に住所および居住をしなくなった者
  2. 障害者
  3. 扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年において生活費または教育費にあてるための支払いを、38万円以上受けている者

おわりに

以上のように、令和4年度はそれほど大きな変更がありませんが、年末調整に必要な書類の多くが電子データで提出できるようになってきており、今後もそれが加速することは明らかです。
したがって会社側は、電子化に対応できるよう環境を整える必要があります。

市場には各種ツールも登場しています。
今年は十分に対応できなくても、来年以降のことを考えて早めに準備するといいでしょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)
※記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。
※上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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