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住宅ローンの金利は固定と変動どちらを選ぶべき?金利タイプの選び方

掲載日:2021年8月6日

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初めて住宅ローンを利用する際、どの金利タイプを選んだらいいのか迷いますよね。一般的に変動金利型は固定金利型よりも金利が低いとされています。とはいえ、返済の途中で金利が上がる可能性もあるので、「変動金利型は当初の見込みよりも返済額が増えてしまうのでは?」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。また、住宅ローンは借入金額が大きく、返済期間も一般的に約27年と長期です。そのため、多少金利が高くても固定金利型を選択し、将来的に毎月の返済金額を一定にしておきたいと思う人もいるでしょう。

そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの新井 智美さんに金利タイプを「固定」と「変動」、どちらにしようか迷っている人に向けて、金利プランの特徴や選び方を分かりやすくまとめていただきました。

1. 住宅ローンの固定金利と変動金利の違いは?

住宅ローンの金利タイプの選び方

まずは、「固定金利」と「変動金利」の違いについて詳しく見ていきましょう。

固定金利の特徴とは?

固定金利とは、借入当初の金利がずっと続くタイプのものです。全期間固定金利型の商品として代表的なものに、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」があります。「フラット35」は多くの金融機関でも取り扱っており、借入期間は最長で35年です。そして、一般的に全期間固定金利型は、他の金利プランと比べて金利が高い傾向にあります。

また、全期間固定金利型以外にも、「固定金利選択型」というものがあります。「固定金利選択型」とは、選択した一定期間の金利が固定されるタイプで、3年固定、5年固定、10年固定などがあります。そして固定期間が終了すると、変動金利に移行するタイプが一般的ですが、中には固定期間を再度設定することができるものもあります。適用される金利は全期間固定型よりは低いものの、選択した固定期間が長ければ長いほど高くなることが特徴です。

固定金利を選ぶメリットとデメリットについて

固定金利の一番のメリットは、返済額が借入当初から完済まで一定なので、将来にわたって返済計画が立てやすいことです。例え、返済期間中に市場金利が上昇したとしても、影響を受けることはありません。逆に、デメリットは、この低金利時代の恩恵を十分に受けることができないことでしょう。今後、今よりもさらに金利が低くなったとしても、借入当初の金利のままで返済を続けていかなければならないのです。

変動金利の特徴とは?

変動金利とは、一定期間ごとに適用金利が見直され、借入期間中に金利が変動するタイプのものです。変動金利型で住宅ローンに適用される金利は通常半年ごとに見直されていますが、見直された結果が毎月の返済額にすぐに影響するわけでありません。ここでは、変動金利独特の2つのルールについて解説していきましょう。

まずは、「5年ルール」についてです。これは、返済額の見直しから5年間は、例え適用金利が上がったとしても月々の返済額は変動しないというものです。
そしてもう一つは、「125%ルール」です。見直し後の返済額は、見直し前の返済額の125%を上限とし、例え、大きな金利上昇があったとしても見直し後の返済額については見直し前の25%までしか上がらないというものです。

変動金利のメリットおよびデメリットとは?

変動金利の最大のメリットは、金利タイプの中で一番金利が低いということです。もし仮に金利が見直されたとしても、「5年ルール」や「125%ルール」が適用されることで、毎月の返済額にすぐ反映されないこともメリットといえます。反対にデメリットは、金利が変動することによって将来の返済計画が立てにくいという点です。また、もし金利が上昇する局面が続いた場合は、最終的に返済額の負担も大きくなり、当初予定していたよりも利息支払分と総返済額が大きくなってしまうというデメリットもあります。

実際に選ばれている金利タイプってどんなもの?

住宅金融支援機構が発表している「住宅ローン利用者の実態調査(2020年11月)」を見ると、変動型の人は62.9%、固定金利選択型の人は24.5%、全期間固定型の人は12.6%となっています。前回の実態調査(2020年5月実施)と比べ、変動型を選ぶ人は増加し、一方で固定金利選択型を選ぶ人は減少、全期間固定型においてはわずかに減少している傾向があります。このことから、「金利の低下が続いており、今後も大幅な金利の上昇は見込まれないだろう」と考える人が増えていることが分かります。さらに、変動金利と固定金利の差が1%以上あることも、変動金利を選択する原因の一つと考えられます。

住宅ローン利用者が利用した金利タイプ

2. 住宅ローンの金利タイプの選び方

では、具体的にどの金利タイプを選べばいいのでしょうか?それぞれの金利タイプに向いている人の例をあげながら解説していきましょう。

固定金利に向いているタイプはこんな人

固定金利を選ぶ際のポイントは、固定金利のメリットである「月々の返済額が一定」という安心感を重視するかどうかです。そこで、以下のタイプの人が固定金利に向いているといえるでしょう。

  • 景気の情勢に左右されたくない人
  • 将来、教育費などの支出増加を見込んでいる人
  • 長期の返済計画を立てている人
  • 今後金利が上昇すると考えている人

変動金利に向いているタイプはこんな人

変動金利を選ぶ際のポイントは、「金利変動というリスクを負いつつ、できるだけ金利負担を減らし、短期間での返済をめざす」かどうかです。そこで、以下のタイプの人が変動金利に向いているといえるでしょう。

  • 借入希望金額が少なく、比較的余裕を持った返済計画を立てられる人
  • 借入希望期間が短い、もしくは繰上返済を利用しつつ短期間で返済する予定のある人
  • 金利変動を定期的に確認しながら、金利上昇リスクに備えることができる人
  • 将来的な収入増加が見込める人

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みずほ銀行の住宅ローンのタイプ別金利一覧はこちら

3. 【金利タイプ別】住宅ローンの返済額のシミュレーションをしてみよう

同じ借入額かつ同じ借入期間の場合、固定金利と変動金利では毎月の返済額および総返済額にどのくらいの差が出ると思いますか?借入金額を3,000万円、返済期間を35年、ボーナス払いはなしとしてシミュレーションしてみましょう。

みずほ銀行ウェブサイト上にあるシミュレーションを利用して試算

固定金利の場合(適用金利年率1.14%)

毎月の返済額 年間の返済額 総返済額

86,657円

1,039,884円

36,395,940円

変動金利の場合(適用金利年率0.625%)

毎月の返済額 年間の返済額 総返済額

79,543円

954,516円

33,408,060円

現在は超低金利時代ともいわれており、固定金利と変動金利の差が1%を下回るケースも少なくありません。とはいえ、上記の結果からも分かるように約0.5%の違いだとしても、毎月の返済差額は約7,000円、総返済額でみると約300万円もの差になっているのが分かります。

今後どのような金利の動きになっていくかが読めないため、一概に変動金利タイプがおすすめというわけではありませんが、仮に0.5%の金利上昇までなら返済していけるという人なら、変動金利を選んでもいいかもしれません。ただし、それ以上の金利上昇が見込まれる場合は、固定金利を選択する方が安心といえるでしょう。

また、銀行の店舗などで、「基準金利」や「適用金利」といった言葉を見たことはありませんか?「基準金利」とは、金融機関が市場金利などをもとにそれぞれの基準で決めている金利のことです。そのため、審査の結果によっては基準金利が引き下げられるケースがあります。それを引き下げ金利といい、その引き下げ金利によって引き下げられた最終的な金利が、「適用金利」です。

もしも住宅ローンを利用する銀行で引き下げ金利が最大限利用できる状況であれば、固定金利タイプを選択することでより低い金利が適用される可能性も出てくるかもしれませんね。

4. 住宅ローンの金利タイプを選ぶときに覚えておきたい注意点

固定金利選択型や変動金利のタイプを選択する場合は、将来的に金利が上昇した際の対応策を考えておくと良いでしょう。金利が上昇した結果、住宅ローン返済という固定費が多くなってしまう可能性があるからです。特に固定金利選択型を選び、選択期間が終了した場合には、一気に金利が高くなるケースもあるので十分注意してください。

なかには、今後金利が下がったら借り換えようと思っている人もいるのではないでしょうか。確かに、金利が下がった際に住宅ローンの借換を行えば、毎月の返済額を減らすだけでなく、総返済額の削減につなげることもできるでしょう。
ただし、借換の際には以下の注意点をしっかりと理解しておいてください。

  1. 1.借換の際には住宅ローンを申し込んだ当初と同様、審査を受ける必要がある。
  2. 2.事務手数料や保証料などの諸費用が発生する。
  3. 3.健康状態によっては団体信用生命保険(団信)に入れず、借換ができない可能性もある。

5. 金利タイプを選ぶ際は複数の金融機関で比較検討することが大切

住宅ローン金利には固定金利と変動金利があり、それぞれにメリットとデメリットがあることはこれまでに解説してきました。もちろん借換を行うことによって途中で金利タイプを変更することもできますが、諸費用という負担を忘れてはいけません。できることなら最初に決めた金利タイプのままで、繰上返済などを活用しながら賢く返済していきましょう。そのためには、複数の金融機関のウェブサイトで借入額と借入期間を想定しながらシミュレーションを行い、比較検討してみることが大切です。また、具体的な適用金利については、実際に審査を受けてからではないと分からないため、事前に引き下げ金利の内容が知りたい人は店舗で相談することをおすすめします。

ご自身のライフプランやライフイベント、家計の状況、金利見通しの考え方などを踏まえて最適な住宅ローン金利タイプを選んでくださいね。

新井 智美さんの写真

新井 智美
(あらい ともみ)

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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