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「新しいNISA」が登場!現行NISAとの違いと今どうするべきかを大解説

掲載日:2023年4月20日

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「新しいNISA」が2024年から始まる

2022年12月に公表された「令和5年度税制改正の大綱」により、2024年以降のNISA制度の抜本的な拡充と恒久化した「新しいNISA」が示されました。これは政府の掲げる「資産所得倍増プラン」の実現に向けた施策の柱のひとつとして「貯蓄から投資へ」という流れを加速させ、国民の資産形成を現金による貯蓄だけではなく投資・資産運用によって拡大促進するものになります。

今回は進化した「新しいNISA」の特徴や、今までの「一般NISA」や「つみたてNISA」との違いをお伝えするとともに、新制度が始まる前年となる「2023年はどうすれば良いか」を考えていきたいと思います。

「新しいNISA」の4つの特徴

そもそもNISAとは「少額投資非課税制度」のことで、この制度を利用した運用で得た利益に対して、税金がかかりません。通常の口座で運用して仮に50万円の利益が出た場合、利益に対して約20%(20.315%)の税金が課せられます。つまり約10万円が税金として引かれることになりますが、NISA口座ではこの税金が免除されるので、まるまる50万円を利益にすることができます。

通常の運用益には約20%の税金がかかる 投資により50万円の運用益が出たが、約20%の税金が引かれ、手元の利益は40万円に減ってしまう NISA口座では非課税 NISA口座では運用益に税金がかからないため、まるまる利益にできる

このNISA制度が新しく生まれ変わり2024年から「新しいNISA」となります。
「新しいNISA」の特徴は大きく4つです。

特徴1)制度の恒久化と、非課税保有期間の無期限化

今までのNISAは制度を利用できる期間が限定されていました。
(「一般NISA」の利用期間:2023年まで、「つみたてNISA」の利用期間:2042年まで)
一方、今回の「新しいNISA」は、いつからでも無期限で投資を始めることができます。開始できる期限が決まっていると、それまでに始められた人と、始められなかった人で不公平感が出てしまいますが、今回の恒久化でその不公平感がなくなることになります。

そして、非課税で投資商品を保有できる期間が「無期限」になりました。今までのNISAは非課税期限を迎えた投資商品を売却したり課税口座に移したりする必要がありましたが、この必要がなくなり、より長期間の投資や保有がしやすくなりました。
また、制度の恒久化と、非課税保有期間の無期限化により、時期を問わず、いつ投資商品を売却して利益が出ても税金がかからないため、必要であれば売却し、必要であれば購入するという売買のしやすさが増しました。

特徴2)生涯にわたる非課税限度額は上限1,800万円

「新しいNISA」では、非課税限度額として成人一人あたり1,800万円まで投資することができます。この非課税限度額は生涯利用できるため、「生涯非課税限度額」とも言われます。
この「生涯非課税限度額」には「簿価残高方式」が採用され、投資信託で資産運用などを行った時の買付け残高で管理されます。
例えば、新しいNISA口座で100万円の投資商品を購入すると、1,800万円のうち100万円分の枠を使い、残りの枠は1,700万円になります。この100万円が運用によって150万円に増えたとしても、投資できる残りの枠は、1,650万円に減ることはなく1,700万円まで投資ができます。運用で得た金額(評価額)がいくらになったかではなく、購入した時の価格で生涯非課税限度額は管理されます。

また、後ほど詳しく説明しますが、この総枠の1,800万円は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分かれており、「成長投資枠」を使って投資できるのは1,200万円までとなっています。

特徴3)「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できる

1,800万円までの非課税枠には、大きく「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、この2つを併用することができます。

「つみたて投資枠」は、今までの「つみたてNISA」を発展させたものになり、金融庁が選んだ積立・分散投資に適した一定の投資信託(現行の「つみたてNISA」対象商品と同様)のみを購入することができます。なお積立投資が前提となりますが、制度上、積立投資は年に2回以上のタイミングに分けて投資をすれば良いことになっています。

「成長投資枠」は、今までの「一般NISA」を発展させたものになり、「一般NISA」同様に個別株やETF、REIT、アクティブファンドなど幅広い投資商品を購入することができます。ただし、高レバレッジ型の投資信託やETF、毎月分配型投資信託、整理・管理銘柄や信託期間が20年未満の投資信託など、長期投資にそぐわないとされる商品は購入することができません。
また「つみたて投資枠」とは異なり積立購入に加え、好きなタイミングでまとめて購入することができます。最大1,800万円の総非課税枠のうち、1,200万円までを「成長投資枠」で運用することができます。

いずれも毎年購入できる金額は、「つみたて投資枠は年間120万円」「成長投資枠は年間240万円」となります。この2つの枠は併用できるので、合計で年間に最大360万円を投資に回すことができます。生涯非課税限度額は上限1,800万円ですので、例えば、360万円を毎年投資した場合、5年間で生涯非課税限度額の上限になります。もちろん、制度は恒久化されているので、毎年40万円を45年間長期で投資して非課税限度額の1,800万円まで投資するようなこともできます。

特徴4)現行の「一般NISA」と「つみたてNISA」とは分けて管理される

現行の「一般NISA」には5年間の非課税期間があり、「つみたてNISA」には20年間の非課税期間があります。この現行の2つのNISAと「新しいNISA」は別々に管理されます。例えば、「つみたてNISA」を2023年に始めて40万円を投資した場合、この40万円分は20年間非課税で運用することができ、さらに2024年1月以降も1,800万円分をプラスして投資することができます。ただし、「新しいNISA」が始まる2024年以降は「一般NISA」「つみたてNISA」から新たに購入をすることはできません。

今までの「一般NISA」・「つみたてNISA」との違い

それでは、今までの「一般NISA」や「つみたてNISA」と、「新しいNISA」の違いを見ていきましょう。

新しいNISA 2024年から恒久化 現行NISA 2023年まで新規買付可の比較表

・買付可能期間

現行NISAは2023年まで購入することができますが、「新しいNISA」は2024年1月から無期限で購入できるようになりました(制度の恒久化)。

・非課税保有期間

非課税保有期間は、現行NISAの「つみたてNISA」は20年間、「一般NISA」は5年間ですが、「新しいNISA」では無期限になりました。

・制度の併用

現行NISAでは、「つみたてNISA」と「一般NISA」の併用ができませんでしたが、「新しいNISA」では、「つみたて投資枠(現行「つみたてNISA」と同様の機能)」と「成長投資枠(現行「一般NISA」と同様の機能)」を併用することができます。

・年間投資上限額

年間投資上限額は、現行NISAの「つみたてNISA」は40万円でしたが、「新しいNISA」の「つみたて投資枠」は3倍の120万円になります。また、現行NISAの「一般NISA」では年間投資上限額は120万円でしたが、「新しいNISA」の「成長投資枠」は2倍の240万円になります。さらに、「新しいNISA」では、この2つの枠を併用することで年間360万円まで買い付けすることができるようになります。

・生涯投資枠

生涯投資枠も現行NISAの「つみたてNISA」は800万円、「一般NISA」は600万円でしたが、「新しいNISA」では1,800万円に拡大しました。ただし、「成長投資枠」の生涯投資枠は1,200万円までとなり、「つみたて投資枠」は最大1,800万円まで使うことができます。「つみたて投資枠」に制限がないのは、この新しいNISA制度が積立による長期の分散投資を推奨しているといえます。

・投資対象商品

投資対象商品は、「新しいNISA」の「つみたて投資枠」は現行NISAの「つみたてNISA」と同様、金融庁が選定した積立・分散投資に適した投資信託になります。
現行NISAの「一般NISA」と「新しいNISA」の「成長投資枠」で購入できる商品は基本的には同じですが、「成長投資枠」で購入できない商品もいくつかあります。

  • *「成長投資枠」で購入できない商品
    1. 整理・管理銘柄
    2. 信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型の投資信託

・「一般NISA」と「つみたてNISA」からのロールオーバー

「一般NISA」と「つみたてNISA」は、非課税保有期間満了後、「新しいNISA」へロールオーバーすることができません。非課税保有期間満了後は、売却するか課税口座に移して運用を続ける必要があります。課税口座に移した場合は、移した時点の評価額を基準にし、その時点からの運用益には税金が発生します。

  • *ロールオーバーとは:NISA口座の非課税期間満了後、保有している金融商品を、翌年の新たな非課税投資枠に移行(移管)すること。

・非課税枠の再利用が可能

「一般NISA」と「つみたてNISA」では、売却した場合に非課税保有限度額の総枠が復活することはありませんでした。
「新しいNISA」では、非課税枠内の商品を売却した場合、その購入にかかった費用分は非課税枠に算入することができます。例えば、1,800万円の非課税枠を使い切っている状態で、そのうち取得価格が200万円の商品を売却した場合、この200万円分の枠は売却後に再利用することができます。つまり、売却後は新たに200万円分の枠を使って投資し、最大1,800万円分の非課税枠として利用することができます。

「新しいNISA」の注意ポイント

「新しいNISA」では、非課税で運用できる枠が増え、期間も無期限になりました。有益な制度にパワーアップしたといえますが、細かい注意点もいくつかあります。

1点目が、非課税枠に算入する際の注意点です。先ほど、新しいNISA口座で購入した商品を売却した場合、その取得価格分が非課税枠として再利用できると説明しましたが、再利用できるのは翌年分からになります。さらに「毎年の投資可能枠」は、「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円と変わらないので、非課税保有限度額が増えても、年間投資枠の上限は増えません。

2点目が、非課税投資枠の再利用ができることです。1年おきに最大360万円の売却を繰り返すことが可能になっていますが、あくまで推奨されているのは長期保有の積立・分散投資ということです。
例えば、1,800万円の非課税枠を使い切った状態でも、360万円分の商品を売却すれば360万円分の非課税枠が復活し、新しく商品を購入できます。1点目の注意点で伝えた通り、360万円分の商品を購入して、同年に売却して、また同年に新たに購入するということはできませんが、1年おきであれば年間投資枠の範囲で購入することができます。非課税枠を使って1年おきに売却・購入を繰り返すことはできますが、短期のトレードになると本制度の趣旨とは離れてしまいます。長期間保有することで複利効果を得ながら、分散・積立を前提にした資産形成を中心に考えると良いでしょう。

3点目が、自分の現金と相談しながら運用することです。年間投資枠で投資できる360万円、非課税保有限度額の総枠1,800万円はかなり大きな金額です。「非課税で運用できる枠があるのに、使わないのはもったいない」と無理に投資をしてしまうと必要な現金がなくなってしまうこともあります。
例えば、「3年後に家を購入する際の頭金」「来年かかる子どもの入学金」など直近で必要なお金まで運用に回してしまうと、必要なときに相場が下がった場合、元本割れをすることもあります。 ご自身のライフプランを考え、数年先に使うことが分っている現金を投資に回さないようにしましょう。

「新しいNISA」直前の2023年はどうするべきか?

2024年から始まる魅力的な「新しいNISA」を前に「2023年の今年はどうしたら良いですか?来年まで投資を待った方が良いでしょうか?」という質問をよくいただきます。

「つみたてNISA」や「一般NISA」は、2023年末以降は新たに追加投資をすることはできませんが、購入済みの商品は非課税の保有期間がなくなるわけではありません。
つまり、2023年に購入した「つみたてNISA」は20年間、「一般NISA」は5年間、非課税で保有することができ、来年から始まる「新しいNISA」とは別枠なので「生涯非課税限度額」にも影響がありません。

例えば、今年から「つみたてNISA」を始めた場合、2023年から20年間、40万円を非課税で運用でき、「新しいNISA」では来年以降、別途最大1,800万円の非課税枠を持てることになります。非課税枠は最大限活用した方が有利になります。まだNISA口座を持っていない方は今年から「つみたてNISA」「一般NISA」の特徴をよく理解したうえで投資を始めてみてはいかがでしょうか。

一般NISA口座を2023年に開設した場合 つみたてNISA口座を2023年に開設した場合の比較図
秋山芳生さんの写真

秋山芳生 自己紹介

新卒で広告代理店の博報堂に入社。2014年から株式会社マネーフォワードに入社しマネーフォワードMEの事業責任者となる。また、お金の相談窓口「miraitalk」を立ち上げFPとして年間1,000回以上の家計相談を実施。現在は、ベンチャー企業の役員をするとともに、会社員向けの金融教育やYouTubeでの情報発信、家計改善のオンライン面談などマルチに活動している。

(記事提供元:秋山芳生)

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。

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